【読書】恩田陸「灰の劇場」
恩田陸さんの「灰の劇場」という本を読んだ。普通。熟年女性が2人して自殺したというニュースをもとに書き上げたという1冊、自分はその社会問題的な要素をどのように恩田陸さんが描くのかを注目して読むことにしたが、あまりその点では期待どおりとは言えなかった。むしろ社会問題を小説にする著者自身という存在がメタ的に描かれている点が印象的で、「2人でひっそりと亡くなったのにそれを取り上げないでほしい」と言われているような気がするという旨の記述は、過度に刺激的には描かれていないのにもかかわらずゾクッとするものであった。夜のピクニックとは当然ながら全然異なる作品。