【読書】坂井豊貴「メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用」

「メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用」という本を読んだ。面白い!基本はオークションと選挙など、互いが互いに影響するような意思決定を扱っている。オークションだと、自分が高い値段をつけるとそれを見て相手も高い値段をつけ、そして自分も高い値段をつけるといった相互作用がある。選挙だと、自民党と立憲民主党が拮抗している所にあえて維新が入ってきて自民党の票を食い、漁夫の利的に立憲民主党が勝利する、ということがある。

制度によってこれらの意思決定をより良いものにするためにはどうすればよいのかということが本作の主題であり、人々が正直に意思決定するのが最適な戦略となる制度が良いとされている。10000円まで払って良いと思っているけどあえてそれより低い価格を設定するのが得になるような制度、つまり不正直者が得をするような制度ではいけないのである。意思決定を行う1人1人に着目した分析が行われていて興味深かった。

この本のもう1つ興味深い所は、学術的知見を現実社会に応用しようと試みている点である。そのため、学術的な分析では人々は合理的に振る舞うが、現実では人々は合理的には振る舞わないという違いをきちんと分析することが重要となる。特に、オークション運営者に対する信頼もまた人々の意思決定に影響するという観点が新鮮であった。

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