マシュー・J.サルガニック「ビット・バイ・ビット -- デジタル社会調査入門」

「ビット・バイ・ビット」という本を読んだ。研究者が人を対象に実験する場合、かつては大学生を対象にすることが多かったが、デジタル化に伴って一般の人々を対象に実験することができるようになってきた。それに伴い、たくさんのデータを募集できる、オンライン上の生の行動履歴を確認できるといったメリットがある。一方、プライバシーの問題、実験参加者がそれと気がつかぬ間に実験に参加していて悪影響を受けてしまっていたという問題なども発生しうる。本書ではデジタル社会調査のメリットを述べつつ、それを上回るレベルで倫理的な注意点について記されていた。

研究に参加してコストを払う人と、研究成果を享受する人が一致しなくてはならないという原則は初めて知った。貧しい人が治験に参加して得られた成果(薬品)を、裕福な人しか購入できないというのは原則に違反していると言えるだろう。デジタル社会調査入門と言っているが、研究倫理入門とも言えるぐらい手厚く、勉強になった。

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