【読書】森絵都「できない相談」
森絵都さんの「できない相談」という本を読んだ。短編集。夫と妻のどちらがトイレの電球を変えるかとか、ビラを配ってくる人をどうしても断れないとか日常生活の中でもやっとする話をクスリとくる形で短編にまとめた1作。自分としてはハライチのターンなどのラジオ番組のオープニングトークっぽいなと思った(ハライチのターンのトークは中盤以降であるが)。
自分が特に面白いなと思ったのは、やたらと客に話しかけるレジ打ちのおばちゃんについて描いた1作。主人公の若者男性はそのおばちゃんが嫌で別のコンビニを利用することとし、そのおばちゃんも客にその距離感を嫌がられていることにそのうち気がつくだろうと思っている。しかし、そのスーパーの客足は落ちない。なんでだろうと思ってみると、高齢者の利用者が増えているとのこと。この出来事から客の多層性を感じたという展開が、個人の目から社会の目へと展開しているように思えて面白かった。
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