【読書】伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」

伊坂幸太郎さんの「ペッパーズ・ゴースト」を拝読した。3泊の旅行後で疲労しているなか読んだためか、眠たくなってしまった…。図書館の締切に追われて読むのはよろしくない。とは言え、購入した本は多くの場合に積読になってしまうので、買ってゆっくり読むのがベストだとも言い切れない。難しいところだ。

本作の主人公は予知能力を持った人物である。彼はその予知能力を活かして他者に起こる不幸を予め防ごうとする。しかし、予知能力を持っていると他者に気づかれずに不幸を防ごうとする場合、不審なムーブをとらざるを得ずその結果として大きな事件に巻き込まれていく。予知という特殊能力を持つことは一見羨ましいが、多くの場合は予見した不幸を黙って目にすることしかできないのだから、能力があるが故に却って無力感を感じてしまうというジレンマがうまく描かれていた。

また、小説の中に小説が含まれているのも興味深い。小説内小説の登場人物がこの小説の登場人物として飛び出してきて、その小説を私が読んでいるという構造。小説を読んでいる自分が、よりメタなレイヤーの小説の登場人物として飛び出すんじゃないかという奇妙な錯覚が心地よかった。

そこそこ面白かった。

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