【映画】ハドソン川の奇跡
「ハドソン川の奇跡」という映画を拝見した。クリント・イーストウッド監督。21世紀に起こった事実を基に描かれた映画であるが、現実とは思えない奇跡であると思った。奇跡を起こした英雄としての一面も描かれているが、同時に突然英雄になってしまったが故の苦悩も描かれており、それがまたリアルだなと思った。
事故のときの意志決定が適切であったかどうかは検証する必要があるが、それを検証するために実際に実験をすることは難しい。実験をするとなると、一方の条件では墜落、もう一方の条件では墜落せず、みたいな結果が想定されるが、実際に墜落を起こすわけにはいかないからだ。
そこで重要となってくるのがシミュレーションである。エンジンが故障した、飛行機の高さはこれぐらい、風速はこれぐらい、など諸々のパラメーターを入れていって現実場面に近づけたときに、ハドソン川に着陸するという判断をしたら成功率はどうなるか。成功率が低いのに着陸するという意志決定をしたのであればその判断をしたパイロットにも責任があるのではないか。といった具合である。奇跡と持ち上げられているのは成功率が低いのに成功したからだろうが、成功率が低い判断をとったということは同時に責任を問われる一因ともなりかねないのである。
さらにシミュレーションに入れられたパラメーターに過不足があった場合、現実と異なる結果が得られるかもしれない。パラメーターがたくさんあればどの要素が抜けているかを発見するのは至難の業だろう。
本作では事実に基づきつつも映画としての面白さを保たれているように思えた。映画後のドキュメンタリー(機長へのインタビュー)も含めて面白かった。