【読書】リチャード・O・プラム「美の進化ー性選択は人間と動物をどう変えたか」
美の進化という本を読んだ。難解。鳥を専門に研究している方なので鳥の名前がたくさん出てくるが、その点は画像・映像あった方がイメージしやすいと思った。本というメディアではなく映像メディアで接したほうがより理解できたかもしれない。扱う内容は鳥から人間まで幅広く、特に鳥については1人で書いているとは思えないほど深く掘り下げて記述されている印象だ。読み応えのある1冊だと思う。
美の進化という内容については読んだ感じ2つ説があるようだ。1つはコストのかかるシグナルという仮説。例えば、孔雀の羽は派手できれいだが、あの派手さは敵に見つかりやすいというデメリットがある。派手な羽で生活するということは敵に見つかるリスクを抱えても生きていけるんだぞ、という強さをアピールするシグナルであるという考え方である。「単に私は強い」と口にするより、「こんな目立つ羽なのに今まで生きてきている私は強い」とするほうが説得力があるだろう。
もう1つは噂が噂を呼ぶ的なものであると理解した(こっちは自信なし)。派手な羽の孔雀が人気っぽいから、私も派手な羽の孔雀に近寄ってみよう、といった具合で、人気(美しい)とされているから人気なのであって、その派手さが何かをシグナルするわけではないという考え方である。
前者は進化・適応の考え方と相容れるが、後者は相容れず劣勢であるよう。どちらが正しいかは正直分からなかったしおそらく今も論争中だが、こんな論争があるんだと知れたことは良かった。
長く難しいので、映像を片手にゆっくり読むのが良さそうだと思った。