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受け取るだけの幸せをやめる


K-POPが好きだ。
特に、疾走感と考える隙を与えないあの音が好きだ。

忙しなく、いつも色んなことを考えている私。
目に入ったもの、聞こえてきた音から、ぐんぐんと思考が飛んでいく。

そんな日々に、BTSを見つけた。
前々から存在は知っていたけれど、知っていたというだけで。
boy with luv の音と、テテ(キムテヒョン)の振り向きに引っ張られ、そこから彼らを好きになった。
彼らの曲は音も歌詞も色も映像もダンスも関係性も好きで、逆に全部好きじゃないと好きにならない頑固ものの私が初めて、「アイドル」を好きになった。

日本のアイドル(AKB48)しか知らなかった。
それぞれの良さがある。
かわいい、その場を温めるような雰囲気を持ち、じんわりと心がほぐれるイメージで、おじさまたちに人気のある日本のアイドル。

逆境でも、生きていくんだ、貴方も苦しいよね、それでも追いかけるんだって、立ち向かっていく姿を見せてくれるのが韓国のアイドル。
かなって思っている。


要は好みの話で、私が好きなのは韓国のアイドルだった。

彼らの曲を聞くようになってから、彼らと同じ事務所の後輩がデビューしていることを知った。

可愛らしいコンセプトのグループだなって、その時は思った。

時が経ち、「Blue hour」がリリースされた。


YouTubeのおすすめで流れてきたんだと思う


綺麗な少年のような、青年のような人と、背景のメリーゴーランドのようなきらきらに、引き込まれた。

何これ、やばい。

求めていたものだった。

きらきらのteenか20歳そこらの5人が、美しい映像と共に流れていく。

脳は既にパニックと、魅了によって、処理不能なのかなんなのかよくわからず、なんだか衝動に駆られるというか、とにかくいろんな感情と思考が駆け巡っていた。

食い入るように見入っては、画面が暗くなり、big hitの音を聞いては見入り、画面が暗くなり、を繰り返していた。

それが彼ら、「TOMORROWXTOGETHER」を見つけた時だった。

好きは加速し、彼らのパフォーマンスを画面越しではなく、五感で受け取りたい。そう思い、アイドルのライブに初めて行った。日本に来てくれる度に行った。

ソウル公演の時の話だ。

私はアリーナ席だった。
その時のステージ構成は、日本のロックバンドのアリーナ席のように簡易的な椅子がなく、満員電車の中、立ち続けるようなスタンディング形式だった。
寒い時期に行ったにも関わらず、室内であり、満員電車状態であるから、暑い。
おまけに、メンバーが近くを通る度に後ろから圧迫される。
一眼レフカメラで撮っていた人はスタッフに容赦なくカメラをぶん取られていたが、日本と違って、スマホでの撮影がやんわりと許可されていた。
そのせいもあってか、水を飲めるような隙間さえない。

後ろの人に、ファンの熱狂にはかき消されるような声で、韓国語で話しかけられた。
「ん?」と思いつつ、周りの韓国人が対応してくれるだろうって思い、気に留めず、推しを見続けていた。
そしたら、次は肩をトントンとされた。

振り返ると、さっきのトントンが最後の力だったのか、その場に倒れるような、垂直に落ちるような形で崩れていった。

え?やばいやん。

すぐにその少女の手を取って、拙い英語で話しかけるが、応答はない。 

ここで、思考が駆け巡る。
第一に、なぜ、周りの韓国人の貴方達は助けようとしないのか?これは日常茶飯事的なことなのか?いや周りにいる子がまだ中高生くらいだからか?なら、大人の私がなんとかしないといけないのか、にたどり着き、メンバーに向けて出していた野太い声を近くにいたスタッフに向けて、出した


ライブも終盤になり、バラード調の曲の前の静かな雰囲気になり、円盤状のセットに座るメンバーを見ていると、細く薄く、声をかけられた
先程よりは余裕が生まれ、ケンチャナ?ケンチャナ?を連呼して、彼女の意識を保とうと話しかけつつ、様子を窺っていたが、彼女の状態も限界だった。

静けさの中、私の声が先程の数倍も遠くへ行く。

今回は見回りをしているスタッフが遠くにいたからか、はしゃぐような曲を聞いてる時ではなかったからか、それとも曲と曲の間だったからか、スタッフが来るまでの時間が長く感じた。

近くのカメラマンと目が合うが、カメラという仕事が目の前にあるが故、戸惑いの表情を浮かべる。

誰でもいい、
日本語訛りのExcuse me を叫んでいた。


ここはアリーナ席でバラード曲の前だ。


おそらく、私の声はメンバーに届いたと思う。

でも、彼らにはここにいる2人の人間だけではなく、数万人の彼らを待っているファンに仕事をしないといけない。そして、いろんな人間がいる。葬送のフリーレンの悪魔みたいな人もいる。

それを人助けを通じて悟った。

あくまで仕事だということを。

それまで彼らの姿を見るだけで、幸せであれば、健康であれば、と思っていたが、助けての声すらも届かないことを身をもって知り、円盤状のセットに座りながら歌う彼らをじっと見てた。


今まではグッズを買う、ライブに行くことが本当に幸せでだった。
内側から幸せの感情に包まれていた。
正直、結構ぎりぎりのラインでお金を出していたし、お金をかける割合が他に比べて多かった。

でも、最近、「受け取ることの幸せ、確約した幸せ」も幸せであるが、もっとより良いものを享受するには、「自分で動いて獲得する幸せ、生み出す幸せ」をしないといけないと思った。

勉強も仕事も、自分で動いて獲得することが多い。
自分で動いて獲得するものの方が重みも凝縮度も試行錯誤の量も価値も経験も自分の感情の成長も、多くの面において上回っていることに気づいた。

ライブにそこまでかけなくていいと思った。
アクセスがいい時に行く、お金にもっと余裕ができたらのたまにのご褒美で行く。

それでいいのではないか、というより、
それよりももっと自己成長ができることに挑んでいきたいと思った。

それに気づいた時に、友人、恋愛、趣味も自分で動いて獲得するをしないといけないのではと思った。それをすることで、見たい景色から見たい景色へ登り詰めるのではないかと。

これからは「自分で動いて獲得し、生み出す幸せ」を手に入れたい。




追記 : 僕の名前で君を呼んで が好きな人はTXTを好きになるかもしれない

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