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#空き家

ひとの過去に触れながら空き家で生きる

ひとの過去に触れながら空き家で生きる

 私は今、曾祖父の家に住んでいます。曾祖父は10年前に他界して、この家はそれからずっと空き家になっていました。空き家になったといっても、私の祖父母が定期的に管理をしに来ていたそうです。

 この曾祖父の空き家に住み始めた頃、生前使っていたものや、祖父母が家で使わなくなった家具家電を持ち込んでいて、家の中は物で溢れていました。移動するのにもやっとなくらい所狭しと置かれた物たち。私も持ってきた自分の家

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美しかったろうな。

美しかったろうな。

 毎日を暮らしていくうえで、1日を棒に振ってしまうのが怖くて、最低限のやることを書き出すことにしました。
 書いておくと、いったんやるべきことが自分にしみ込むような感じがします。今日は他に郵便局へ行く、とか、フェリー乗り場の下見をしに行くこともやったから、120点満点。

 やり終えたらチェックを入れる。力強くピピっとブイをいれました。

 掃除をしていると、思わず手を止めてうっとりとしてしまうも

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夕暮れ時でもさびしくなかったら

夕暮れ時でもさびしくなかったら

 夕暮れ時に外にいます。ここは知っているけれど、知らない場所。曾祖父が住んでいた島です。私が高校生の頃に亡くなった曾祖父ですが、それまでは小さい頃、よく祖父母に連れられて遊びに訪れていた場所でした。
 私の母方の祖母の父の島。祖母は泳いで本土まで渡ったことがある話、みかんを積む船に乗せてもらった話、まだまだたくさんの面白い小さい頃の思い出をよく話して聞かせてくれます。
 私はそんな曾祖父の住んでい

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