【予備試験】令和3年予備試験~論文の初見のでの雑感
今年も予備試験論文式試験が終了しました。今年は、例年通り7月開催でしたね。一般教養が最後の年ということでしたが,基本的には感染症対策以外は変わりない感じで運営されたようでなによりでした。さて,本題の私が予備試験論文の問題を問題文発表直後に見た時の感想を,問題文と構成用紙をベースに雑感として書いていこうと思います。すでに,数人の再現答案の分析もしており,やや情報鮮度が弱いですが,参考になれば幸いです。
ちなみに再現答案募集しています。再現答案作成している方はDMか以下のアドレスに送ってください。その場合は簡単なコメントと独断と偏見に基づく評価予想をお返しします笑
lighta.amplighアットマークgmail.com アットマークは返還してください。
今年論文受けなかったよ!という人はこの記事を読まずにまずは自分で法務省で問題をDLして,少なくとも答案構成して論点抽出くらいしてから読んでください。学習効果の観点から,余談の少ない状況下で新鮮な問題文を読み自分の実力を測る資料を客観的に作ることは非常に重要です。
では,以下本題です。なお,今回は実務基礎も民事刑事分けて雑感を書いています。教養は当然ですがなしです汗
1 憲法
条例の表現活動規制の合憲性審査ということで21条の問題か。歴史的な街並みの維持のための広告規制と印刷物規制か。表現の自由の問題であることに問題はないし,問題文の事実配分から広告規制が若干厚めに記載かな。そもそも立て看板などとビラ配布は手段的には違いがあるけど判例上は有意な差をもって区別されてないしなぁ。基準の定立までは包括的に書いても大丈夫かも。広告物は問題文によると例外はあるものの厳格すぎる。一律全面規制に等しい。そうすると基準は厳格になるが,内容を見て判断しているという事情はないし客観的な一定の場所での規制でもあるし,その場での広告物を出すことの意義なども事情も問題文にないから,厳格な基準は妥当しない。そうすると,LRAか実質的関連成か…基本に立ち返って内容中立なのでLRAで。目的の重要性のあてはめが厄介だな…歴史的な景観ってあんまり個人的な権利には還元できないし,伝統文化とか個人的に左右されそう…だけど,まぁ共通認識になっているということで重要はOKか。LRAをみてみると,そもそも問題文の事情に規制のきっかけがあまり書かれてない。過剰な規制っぽいし,必要性はあるのだろうか。必要だったとして一律規制や向上させる場合のみという厳格な規制は相当とまでは言えないかな。普通に許可制でいいわけだし,届け出制でもいけそう。事前審査になるけど検閲にはならんしね。
ビラ配布は既存業者との平等も問題になりそうだけど,今回は紙面の関係でパスかなぁこれもビラの内容を届け出たり事前に色彩など基準を設けても十分に対応できるし,それでも変なやつがいたら刑罰で処理すれば景観の維持には十分でしょう。てか,そもそもビラとか広告物で景観が回復できないような損害を被ることって想定できないし。たぶん合憲だろうな。起案の差異は,広告物と配布物の差異を意識して比較の視点を出そう。
今後も簡単目な立法審査問題が継続して出題されるだろう。
2 行政法
問題文が長いし参照条文も多いなぁ。でも,産業廃棄物処理法だからわかる(自分は環境法選択でした汗)。設問1は3条2項に関するもので2つ選ぶ感じか,,そうすると本件条件と本件許可そのものの取消訴訟か。本件条件は付款だから一応処分性は検討かな。あっさりめに。付款だけで取り消せるかの論点だなぁ今回はどっちでもよさそう。判決効との関係もしっかり指摘しつつとあるから拘束力などで実際に取り消された場合どうなるかを指摘いしつつ書くと説得的だろうな。
設問2は本案の違法,それも要件該当性だけでいいのか。といっても裁量があるしかなりの危険物だから専門的な判断ということで裁量は広そう。でも警察規制だからどうなんだろう。。まぁ裁量と信義則を絡めて書けば事実関係は拾えるし問題ないか。協議の結果を尊重すべきとか,限定する必要性が法的にどういう意味を持つのかとかいろいろ書けそうない事情はあるから考慮事項の審査を丁寧に。H27年に信義則出てるからそれと想起しつつかな。従前の運用変更は事実上の不利益変更って感じになるのかな?法的な根拠があるわけでも不利益処分でもないけど,この辺りも慎重に検討してっという感じか。
付款とか判決効とかこれまで聞かれていない論点の出題が昨年から続いてる印象。基本論点(処分性・原告適格・裁量)で点数を稼ぎつつほか論点に以下に食らいつけるかが今後のカギかな。いや,そもそも行政法総論を軽視しすぎたことへの反動か?
3 刑法
自己の所有物への窃盗か。占有の基本的な話ですね。不法領得の意思は記載不要かな。そのあとは段ボールを処分するんで火を放ってるから放火の罪で建造物など以外放火で自己所有だから公共の危険のあてはめとその認識の要否か。認識の要否は判例と学説の対立が強いけど,予備試験だし,紙面の関係もあるから学説を批判しつつ,判例の立場で不要説で処理かな。
公共の危険のあてはめはH25年司法試験でもでてるし,まぁそれを思い出しつつ事実関係を拾っていけば大丈夫でしょう。
そのあと,乙登場。老々介護とまではいかないがH22年ぽい感じがするなぁ…乙はXを殺そうとしているし,Xは主観的には死にたくないっぽい?錯誤…は乙にはなさそうだな。嘱託殺人とはいかないな。甲は,嘱託殺人と思ってるから錯誤か。その前に不作為の殺人になるのか検討か。ん?失神後に帰ってるから承継的共犯か?そうすると否定説で書かないといけないタイプの犯罪だから不成立かな。実際何もしてないわけだし不成立でもよさそう。作為義務に関する事情も少ないし。。んーどうしよう。
オーソドックスに各論総論を混ぜて聞いてる感じがいかにも予備試験ぽい。最後の乙と甲の犯罪は共犯なのかよくわからない。例年通りの対策で今後もOKかな。司法試験のような学説対立を聞く出題への変化の傾向もないし。
4 刑事訴訟法
準現行犯逮捕と初回接見か。それぞれ,H25司法試験,H28司法試験に出題があるな。準現行犯の方は時間的場所的には和光大学事件的にも微妙だし,逮捕者の認識している情報からしても明白性は担保できるレベルではないだろうな…そもそも強盗致傷だし盗品と一致してる物を所持しているから緊急逮捕できそうな事案だし,違法の筋の方が書きやすいかな。初回接見は条文を丁寧に引きつつ判例の文言を丁寧に引用してあてはめて終了かな。弁護士側の事情もあるし,判例の事案ような配慮を欠いたとまでは言えないし検察官むしろ積極的に話し合ってる感じもするから初回接見でも適法な指定だろうかな。判例の事案との差異というか規範の意味をしっかり理解できてるかで拾う事実の評価が異なりそこで点差が付きそうだな
昨年のような問題ではなく無難な論点からの出題。接見指定は実務で出るような論点にも思えたのでちょっと意外であるが,例年通りといえるので過去問を中心に判例を勉強しておけば今後も大丈夫だろう。
5 民法
ワインにウイスキー…酒のはなしかよ。案外問題文長いし。設問1は2個の契約を一つと見れるかってやつか判例のある所だな。事実関係もしっかりしてるから解除の条文へのあてはめを丁寧にしていけばいいだろうし,契約の個数も解釈問題だし判例をベースに書けばいいからそんな難しくないかなちょいちょい品質の話とか契約内容に関する記載もあるし,結構事実は拾えそう。交渉経緯からみても一個の契約というか付随契約だし,賃貸借も解除できるでしょう。
設問2は集合動産譲渡担保の有効性か。債権譲渡のはたしかでてるけど,動産は初めてか。でも特段違いはないし特定性と公序良俗違反がなければOKでしょう。一物一権主義とか物権法定主義もふれるか?くらいか。通常の営業の範囲内とか判例の文言がちりばめられているけど,物上代位ではないな。後半の設問は対抗関係か。前主後主の関係だから厳密には違うけど。そもそも,所有権留保的な条項があるけど,これと譲渡担保の優劣を考えると,契約だし,相対効と考えると所有権自体はDだろうな。それにCが備えているのは対抗要件としての引き渡しだからそもそも所有権がないと無理よな。Cは即時取得も主張しうるだろうけど,占有改定では無理でしょうし。そうすると,所有権がAにない以上は譲渡担保権の効力は及ばないし対抗もできないからDの勝利か。でもそうすると,集合動産譲渡担保が事実上成立しないような気もするが。。。
オーソドックスな出題。譲渡担保とか所有権留保とかがマイナー気味ではあるが,近時の出題傾向からするとそうは言えないか。改正法を全面的に効いているわけではないが,今後は要注意。特に出題傾向の変化は見られない。
6 商法
副社長,表見代表か。条文はたしか…まぁ条文は後で確認。登記も会社の手続きなしに変更してるから908条の問題もあるのか。この二つの関係って論点だったな。たしか表見法理が優先するはず。そもそも908条の効力についても論じる必要もあるだろうし。AC親子に尽くすBがかわいそうだが医療機器メーカーってことはもう買ってそうだなぁ。あんまり関係ないか。話を戻して,表見法理だと甲社側の帰責性はなさそうだな。さすがに,Bに今回の件を察知する義務を科すのはきついし,,そもそも,大株主のAが良いって話だからよいような気もするが,,あーたしかここで登記の積極的効力が効いてくるんだな。そうすると乙側に帰責性はないし,外観もしっかりしている以上は甲は乙の請求を拒否はできないでしょうね。Bはかわいそうだけど,損するのはACだからやむなしか。会社の従業員がかわいそうだが。
そんで設問2はBが辞めて退職金を払ってもらったことを今度はCが気に食わないから返せと。報酬の返還はH24年司法試験に出てたかな。たしかに,株主総会決議がないから,法律上の原因なしで不当利得返還請求はできそうだ。しかし,内規に従っているし,死亡前に大株主Aが了承している以上はお手盛りの危険もないわけだから形式的に株主総会決議を要求する必要はないし,そもそも契約で支払うってなっているものをあとから変更するのは無理でしょうね。そうるうと甲社の請求は無理で終了。
7 民事訴訟法
あー債権者代位と独立当事者参加とかか,法改正の影響を受ける部分打からしっかり勉強しているかで差がつくだろうな。とりあえず,設問の誘導にしたがって,各条文の要件の検討をしつつ,遺産分割の代位行使という実体法の処理をうまくこなせるかがカギになりそうだ。一義的に正解のある問題のようにも思うがどうだろう。。ちょっと苦手というか手薄な部分だな。
設問2は訴訟告知の効力が効かれているのか。確か補助参加の条文が引用されているから参加してなくても当然に効力は及ぶよね。Aは代位行使しているに過ぎないから,本案上の権利関係が同行は言えないし。そうすると,補助参加の効力は理由中にも及ぶから,Aの主張は当然に本件判決と矛盾するから無理か。でも問題文には既判力とあるから,115条の問題なのか?そうすると,本件判決が棄却ってことは遺産分割協議自体は有効でZに所有権はないってことか。
却下じゃないってことは当事者適格があるYに対してXZ間の既判力が及ぶってことになるのかな。でも処分権が制約されなくなったわけだし,当事者適格がそもそもYにあろうがなかろうが関係ないのか?んーわからん。とりあえず民法の条文をみつつ既判力に関してもしっかり書いていこう。本件判決の効力とあるから参加的効力の話をしておけばまぁ大きくはこけないでしょうし,既判力のところはみんな手薄であることを祈るしかない
改正民法に関する論点が問われている点難しいが,ここの変更に関しては従前からかなり議論のあるところだし,事前に準備が効く問題。そう考えると難易度に変化はなく,対策も今まで通り過去問とかでOKかな。
8 実務基礎(民事)
要件事実問題が穴埋めじゃない!面倒だ。。しかも設問1は微妙に5万円がうざいな。これは訴訟物にならないから,請求原因としては書かないけど,明示の一部請求ってことで書くのか。そうすると,抗弁を先出しているって考えるのかな。先行自白的な。それか特定のためという法的な意味があるということでいいのか。やや難しいなぁ。設問2は仮差押と債権者代位の差異かこれも改正法で変わった処分禁止効がなくなって,訴訟中でも弁済されちゃうから,仮差押一択ですよって話で終わりか。設問3は債権譲渡関係か。しかも対抗要件の抗弁かな。代物弁済は債務者対抗要件を持つまで認めないって主張するとなると,被告側で主張しないといけないのかな。敷金に関しては条文化されているし,主張自体失当でしょう。設問4は賃貸借契約が成立していないことを主張するわけか。契約書があるが盗用されているから第2類型か。盗用されいる可能性は十分ありそうだから推定は覆そう。他の事情からしても賃貸借契約は認められないだろうな。以下に義理の親子でも賃料請求を半年以上も放置しているというのはちょっと考えにくいし,建物明け渡しを求めていない事情もわからないからなぁ。。
要件事実問の聞かれ方が変化したが,各内容自体のレベルに変化があるとは思えないし,保全も比較的簡単め。事実認定もそこまで難しいわけではないので例年に比べれば簡単だが,出題方式の変化を加味して普通という感じ。
9 実務基礎(刑事)
設問1は準抗告か。こういう聞き方ははじめてだし,資料の意味を考えるってのは初めてのはず。刑事弁護の性質が強くなっているなぁ。知らないとどう考えるかわからないだろうな。仕事してれば簡単だけど,,受験生にこれは難しいような気がする。
設問2は供述の信用性か。これ自体は出題は初めてか?でもよく予想論点とかでは出ているし,事実関係からすれば見れたかどうかという点の信用性なのは明らかだし,客観的事実との整合性に重点を置けばそこそこかけるか。規範はでっちあげになるかな。
設問3は遮へいとビデオリンクか。。細かいな。これはもう条文を見て考えるしかない。たしかどっちかは性犯罪とかに限られていた気がするし。条文見ればわかるだろう。
設問4は尋問中の釈明の意義を説明させる問題。ということは規則の199条あたりを引いて書いてって感じか。これも実況見分調書とかみたり仕事してればすぐわかるんだけどなぁ。。
ちょっと細かい部分の出題が多く,例年よりも難しい印象。細かいから難しいという感じであり事前に準備が効きにくい。これに対応しようとすると幅広く条文の運用について勉強する必要があり,費用対効果が悪い。従前どおり公判前とか犯人性などの重きを置きつつ,細かい手続きは択一の際に実際にどういう動きになるんだろうと考える癖をつけて補っていくしかない。模擬裁判とかできればいいんだろうけどね。
10 総評
全体としてオーソドックスで特に奇異な論点もなく無難にまとめた印象。実力差が如実に出るだろうなという感じは平年通り。
出題論点も司法試験に近い印象があるのも例年通りなので,予備試験の過去問だけでなく,司法試験の過去問も受験生には解いてほしい。司法試験受験生も予備試験の問題は基礎力を上げるために解くべきだろう。
11 今後の対策
上記の通りで司法試験や予備試験の過去問をしっかりと検討分析して起案すべき。起案してできれば誰かにしっかりと見てもらうか,ゼミで検討するといいと思う。