【書評】刑事訴訟法判例百選(第11版)
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定番の判例百選。刑事訴訟法が新装になったのでこれで基本7法すべて新装になりました。
内容は申し分ないです。もともと百選は司法試験の出題範囲を画する一資料として非常に貴重です。百選掲載判例やその理解、解説に記載の問題意識や判例の射程等が理解できていれば優秀良好を狙えるレベルです。
そこまでにいかなくても、合格するためには判例の事案と判旨を正確に把握する必要があります。
刑事訴訟法の判例百選は事案と判旨のまとまりが非常によく、解説も実務的なものが多く読みやすいものが多いです。
特に11版になって、解説が刷新されており、試験よりにさらになっている印象です。
「はしがき」にも記載がありますが、新しい判例を掲載して差し替えるというものは少ないです。しかし、二つの昭和の判例を再度本掲載にしてリバイバルしています。この趣旨は学習のためには古典的な判例の方が効率的だろうということです。
実際にこの二つの判例は①差押えの関連性(概括的記載)②伝聞の意義(伝聞非伝聞の区別、「あの人好かんわ、いやらしいことばかりする」)になっています。
この二つの解説は特に学習者にフレンドリーな内容に思えます。特に、伝聞非伝聞は「要証事実との関係での真実性」というものがどのようなものか?証拠から何を認定できるか?検察官が何を立証しようとしているのか?それにより伝聞非伝聞をどう判断することになるか?と疑問がいろいろな論点です。この解説では、基本となる判例をベースに証拠構造を図示して説明しており、こういうのがほしいんだ!という感じの解説でした。
また同様の証拠構造については「状況証拠と事実認定」の判例の解説で図解を使って説明されています。こちらも非常にわかりやすいです。
最新判例ももちろん重要ですが、刑事訴訟法の基本的な判例の深い理解、深い理解を学生・受験生にどう伝えたらよいのか?を意識された書籍になっており非常におススメです。
刑事訴訟法は予備校の講義などを聞いた後に、基本書を読まずに百選と過去問を進めるだけでも十分な成果が出ると思います。もっとも、刑事実務基礎として手続きの流れの理解があることが前提です。手続きの流れに関しては教科書を利用して、判例のような特殊な事案でない場合の対応(通常の原則的な対応)もしっかり押さえましょう。
なお、過去問解説系としては以下をお勧めします。
それでは!
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