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私の本棚2024年版~司法試験・予備試験~刑事訴訟法のおススメ

2024年9月更新


第1 はじめに

 本記事は、「私の本棚~司法試験編~刑事訴訟法」の2024年度アップデート版です。2021年に公開した前回の記事から書籍を更新しつつ、リンクを入れ替えたりして最新版に対応させました。
 また、この間の指導経験や実際の利用に応じて感じた内容を改めて追記しました。

第2 刑事訴訟法の書籍の外観

 刑事訴訟法は科目特性上、判例の理解が超重要です。ですので学者の本よりも実務向けの学者の本や実務家の本が中心になる印象です。学術的な対立ももちろんありますが、他科目よりも試験的には少ない印象です。手続きに関しては実務基礎科目向けの本が結構よかったりしますのでそちらも参考にしてください。

 一番のエッジは『司法試験体系的問題解析 刑事訴訟法』だと思う。

第3 書籍紹介

1 基本書・教科書

①『刑事訴訟法講義案(第4版補訂)』司法協会 裁判所職員総合研修所監修 ★★

 書記官向けの本。捜査の部分はページ数などからしても、少ないので微妙ではある。しかし,そもそも捜査法の勉強は判例を丁寧に読めば十分に足りるので教科書レベルとしては過不足はないと思う。手続き的な部分は、公訴の提起以降の説明が、条文に即してわかりやすくなっているため、問題なく今でも使えると思う。
 これは確か、伏龍先生(mixi時代につながった3つ上の先輩で現在67期B)に教わった本だと思う。

②『刑事訴訟法講義(第7版)』東京大学出版会 池田・前田著 ★★

 たしか大学の指定の教科書の一つで買った一冊。あまり読んでいなかったたが、、、当時の授業でのレジュメ(自分で取っていない方の授業)がよかったので当時はそれを使用していた記憶があります。読んだ部分に関して言えば柱脚の情報量が多くて参考になった記憶がある。当時は第3版で、たしか呉クラス?の先輩に聞いてつい買いだした。

 2022年8月追記購入しなおして改めて読んでいますが、コンパクトでいいですね!非常にわかりやすく、現在も指導の際に使用しています。

③『基本刑事訴訟法Ⅰ』『基本刑事訴訟法Ⅱ』日本評論社 ★★★

 基本シリーズなのでアマゾンでkindle版購入しているが…まだ読めていないです。書評は不明ということで。。

⇒読みました。手続編と論点編の分け方がちょっと読みにくいなと感じますが、初学者の段階だといいのでは?と思いました。手続理解編は予備試験の実務基礎用に手続きの流れを把握するためにありかなと思いました。 

④『刑事訴訟法の思考プロセス』日本評論社 斎藤司著 ★★★

 Twitter有名人の斎藤先生の著作。すごくわかりやすかったのでこれもおススメ。
 基本刑事訴訟法とどっちかがいいかなと思います。

⑤『入門刑事手続法(第9版)』有斐閣 三井・酒巻著 ★

 有名な入門書?基本書ですが、私は受験当時は使用しておりませんでした。最近になって読むようになり受験生には手続きの外観をつかむために使用するのはいいかな?って進めています。

2 体系書

①『刑事訴訟法(第2版)』有斐閣 酒巻匡著 ★

 最近最も定評があるかな?という本。自分はそこまで受験の時は使っていなかった(出版が受験直前だったので)。今は一応参照するために所持しています。

②『刑事訴訟法(新版)』有斐閣 田宮裕著

※古いのでURLは省略

 体系書?というか古典作品といえる1冊。学説的として有力な立場として説明されるものの多くがこの本からでは?と思えるくらいよく出る本。論理的で内容もおおむね読みやすくてよかった。しかし,現行の試験対策という点では内容が古い上に判例通説の理解という点を得られないのであえて購入する必要はない。個人的には結構好きだったので読んだけど試験的に使えたとは言えないかな。

3 演習書

①『エクササイズ刑事訴訟法(第2版)』有斐閣 栗田知穂著 ★★

 最近おススメされて,買って読んだらよかったので推奨してます。ちょうど版が更新されるタイミングだったのもありますが。薄いがしっかりとまとまった解説と難しすぎず適度な難易度の事例がちょうどよいです。
 答案例作ったら売れそう。。

②『事例演習刑事訴訟法(第3版)』有斐閣 古江頼隆著 ★★

 刑訴の演習書の定番,ということでみんな使っている一冊。個人的には会話形式の文章がわかりにくいのであまり使用せず。それでも伝聞法則のあたりは読んだ記憶しっかりあるし,今でも指導用に更新している本です。
 第3版になってページ数が増えすぎて読み切れないと思うが今でも十分使える一冊。

③『事例でわかる伝聞法則(第2版)』弘文堂 工藤ほか著 ★★★

 伝聞わからないならとりあえずこれ読めと推奨する1冊。100本ノック式に簡易な事例から伝聞の本質を教えてくれるよい教材です。そのうえ,司法試験での解説・解答例もあるという最強の本。執筆者も多く複数の目で検討された文章なのだろうと思え,信頼できると感じている。

④『伝聞法則に強くなる(第2版)』日本評論社 後藤昭著★★

 上と同じ感じの目的の本。事例よりも説明が欲しいという人はこっちの方がよいかも。

※刑事訴訟法は予備試験・旧司法試験をベースにした演習をすることが理解と合格の近道。旧試験の解説はかつて工藤北斗先生が受験新報で連載していたものがおススメ

4 判例集

①『刑事訴訟法判例百選(第11版)』有斐閣 井上・大澤・川出編著 ★★★

 刑事訴訟法は、判例が非常に大事。捜査法は、百選判例を理解できていればよいとさえいえるレベル。判例を読むためにも、試験範囲を理解するためにも必須です。
 2024年に11版になりましたが、最新判例への差替えは少なかったです。しかし、解説者がほとんど差しか割っており、解説がよくなっているように思います。
 また、はしがきに記載がありますが、古い判例をリバイバルして本掲載に戻しています。関連性についてのメモの判例、伝聞非伝聞についての「青の人好かんわ。いやらしいことばかりする」の判例です。特に伝聞非伝聞の解説には証拠構造の図解が乗っており革新的にわかりやすくなっています。
 また、状況証拠と事実認定の解説についても証拠構造をどう理解するべきか?という視点で解説が構成されているため、事実認定や伝聞証拠の立証趣旨の理解に役立ちます。
 判例集多しといえどもやはりあなどれない1冊です。

BEXAのこれ知人です。第11版に更新してほしい。

②『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕(第2版) 』『判例講座 刑事訴訟法〔公訴提起・公判・裁判篇〕(第2版)』立花書房 川出敏祐著 ★★★

 川出先生の警察官向けの論文をまとめた本。判例ベースで判例をどう説明するか?などの話が分かりやすくまとまっているので非常に分かりやすい。基礎的な部分の説明もありもう教科書といって差し支えないレベルではあるが、一応判例集と位置付けた。もうこれと百選で司法試験レベルの知識は十分と思う。

5 そのほか

・『司法試験体系的問題解析 刑事訴訟法 』成文堂 反町義昭著 ★★★★★

 LEC講師による著作。司法試験の問題を体系別にそろえて、出題趣旨・採点実感をベースに判例の解説や答案例論証がある本。試験対策に必須といえる本。マジおススメ!
 特におススメしたい点は、証拠構造の把握。司法試験では伝聞証拠がよく出題されますが、伝聞秘伝における立証構造等の把握を上手に説明している書籍は一般的な刑事訴訟法の書籍ではありません。また、伝聞に関する書籍でも構造を明示的に示している者は少ないように思います。
 本書では、証拠構造をしっかりと図解しており、非常にわかりやすくなっています。特に実況見分調書とその内部にある写真、現場指示、現場供述の違い等の構造は秀逸です。
 それらの理解を司法試験の問題を使って説明している点で非常に実践的で有益です。
 司法試験過去問ベースのため平成18年~令和2年までの問題で出題された論点ベースになっており網羅性を欠く部分も確かにあるが、司法試験の傾向として8割がたは過去問の焼き回しが多いため、合格に向けて効果的な一冊といえる。

 また、この本の著者はLEC専任講師であり、LECで刑事系を教えている。試験直後の解説講義がLECで無料公開されている。その中にレジュメがあるので最新年のものは簡易的にではあるが、これで補充すればよい。
司法試験解説動画はこちら

お蔵入りした書籍
③『刑事訴訟法(第7版)』弘文堂 田口守一著
④『刑事訴訟法講義(第5版)』慶応義塾大学出版会 安冨潔

第4 さいごに

 以上です。刑事訴訟法は基本書的なのが案外多いなぁと整理して思ったけど、、やっぱり多かったですね。しかし、判例実務の理解があれば試験的には何とかなるのでそこまでは必要ないかも?各自の判断に任せます!

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