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摂食障害 闘え!大学生編②

低体重になり、頭の中は常に食べ物と体重でひしめいている。
少しでも油断して食べてしまおうものなら、もう止められる気がしなくて、食べる勇気が沸かない。
友人と何か会食するときには「食べるのがやめられなかったら、止めてね。」とお願いしていた。(友人も、さぞ、困ったことだろう・・・)
そして、誰かと食事をするのを避けるようになる。

体重が増えることは死ぬことより恐ろしいのだ。何よりも恐ろしいのだ。

メンタルクリニックで、神経性食欲不振症(拒食症のこと)と診断される。
徐脈、低体温、低血圧になっており、いつ亡くなってもおかしくない。入院しましょう。と説得されるも、「私は病気ではない。」(自分から病院に来たくせにwww)と断り、薬だけ貰う。

入院だけは避けなければ!留年してしまう!と必死だった。
ミイラのような姿で大学に真面目に通い、接客業のアルバイトもこなした。
きっと周りからは末期がん患者の様に見えただろう。

次第に呼吸が苦しくなっていった。
心臓がやっとこさゆっくりと鼓動を打っている。
いつでも酷く寒く家では常に湯たんぽを抱えていた。
声は出なくなり、蚊の鳴くような声しか出ない。
髪の毛も爪ももう何か月も伸びてない。
生理もとっくに止まっている。
それでも私は、死が差し迫っているなんで全く自覚がなかった。

唯一私が恵まれていたことは、友人・クラスメイト・先生の人間性が優れていて、知性も徳も高い人達だったことだ。
皆、とても親切に優しくしてくれた。
ゆっくり歩くのがやっとで、重めのドアを開けることができなくなったとき、クラスメイトの子が当たり前のように開けてくれていたし、情緒不安定で授業中泣いてしまっていても、どこからともなくポケットティッシュが自分の前に周ってきた。
数学科だけあって、大人しく、控えめな子が多かったけど、アイドルのような見目麗しい子たちじゃなかったけど、そういった静かな優しさは何より嬉しかった。
皆のお蔭で摂食障害を患いながらも卒業できたと思う。いつの日かお返ししたい。

しかし、ついに痩せが進行し、思考がおかしくなっていく。
"食べ物は食べちゃダメ、食べ物以外は食べてよい。"とクルリと思考がひっくり返ってしまった。
私は、新小岩の電柱に嚙みついていた。
バイト先の生ごみを隠れて食べるようになった。
家にいると猛烈に恐ろしくなり、自転車で近所を何かから逃げ回った。家に戻ってはまた逃げ回るを繰り返した。

そして、体力も底をつき、歩くこともできなくなり、布団の上で寝込んでいた。もう大学には行けなくなってしまった。
頭だけを布団から出し、テレビをずっと見ていた。
思考はさらにおかしくなる。

「私は本当に幸せになりたいから、今までで一番私を無償の愛で愛してくれたお祖父さんとお祖母さんのところに行きたい。」
「天国にいきたい」
「あの世では幾ら食べても太らないでしょう?誰かにお供えをいっぱいしてって頼まなきゃ」

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