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現代音楽史-闘争しつづける芸術のゆくえ (中公新書, 2630) 新書 – 2021/1/18沼野 雄司 (著) Amazonレビュー
まず、世界的にも、類書がないということで、極めて貴重な著作です。
2021年3月4日に日本でレビュー済み
こういう世界があるということを多くの人に知ってもらいたい。
私は、40年来の現代音楽ファンです。1976年の大学1年生当時に、J.ケージ(John Cage)の作品「John Cage: 3 Dances, for two prepared pianos」から入りました。生まれて2番目に買ったLPが、J.ケージ(John Cage)とS.ライヒ(Steve Reich)とが入ったLPでした。きっかけは、ラジオのプログレッシブ・ロックの特集番組で、S.ライヒ(Steve Reich)の「Four Organs (1970)」の冒頭が紹介されたことでした。ちなみに、生まれて最初に買ったLPは、クラフトワークでした。
音楽を食べ物に喩えると、調性音楽は 甘い食べ物に喩えることができます。それに対し、現代音楽(/無調音楽)は 甘さを基調としない食べ物に喩えられます。現状は、大部分のリスナが、音楽は「甘い」という認識を持っています。
本書について、特に、第7章で”新ロマン主義”と"新しい複雑性"という二極で音楽状況を捉えている点は、いくら評価しても、評価しきれません。
私は、大学2年生だった1977年以来、”新ロマン主義”を代表する作曲家W.リーム(Wolfgang Rihm)と、"新しい複雑性"を代表する作曲家B.ファーニハウ(Brian Ferneyhough)とを中心にフォローして来ました。
1977年に、「ニュー・シンプリシティ」というテーマで、各国の作曲家がヨーロッパに集まりました。そのときに参加していたのが、当時、弱冠25才だったW.リーム(Wolfgang Rihm)、B.ファーニハウ(Brian Ferneyhough)、S.ライヒ(Steve Reich)、湯浅譲二、etcでした。その会議の報告を、湯浅譲二が 当時の『音楽芸術』誌(音楽之友社)1977年10月号に「七〇年代のアスペクト--ニュ-・シンプリシティをめぐって / 湯浅譲二 / p32~37 (0018.jp2)<1783811>」という記事で書いていました。以来、私は、この4人の作曲家の作品を軸に聴いて来ました。
※当時、私は、現代音楽の情報を求めて、毎月、『音楽芸術』誌(音楽之友社)を購読していました。毎週、NHK-FMの「現代の音楽」をエアチェックし、各国の現代音楽祭の放送をエアチェックして、聴いていました。そうした中で、W.リーム(Wolfgang Rihm)については、「 String Quartet No. 3 "Im Innersten" (for string quartet) (1976)」、B.ファーニハウ(Brian Ferneyhough)については、「Time and Motion Study II (for cello and electronics) (1973-76)」、湯浅譲二については、「Triplicity for Contrabass (1974)」を初めて聴き、即座に気に入り、全曲を記憶する程 繰り返し聴きました。シェーンベルクが指摘していますが、音楽を よく 鑑賞するには、繰り返し聴いて、流れを記憶する必要があります。音楽聴覚時の快感は、流れの予期が当たることで生じるようです。
とにかく 本書,現代音楽 共に おすすめです。
※現代音楽の最新作品は、youtube上の"Score Follower"というチャネルで聴くことができます。
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