パラサイト半地下の家 in コペンハーゲン
事前に内見に行かず、速攻決めた家は半地下の薄汚い少し匂いのある家だった。
コペンハーゲンでの家探しの競争率は激しく、地元の人でも家探しに苦労するくらい、部屋の空きがない。
あったとしても、値段がすごく高かったり、センター街から離れていたり、シャワーすらなかったりする。
私は、フェイスブックと日本人の掲示板、Airbnb、Workaway先のホストマザーや、コペンハーゲンでできた日本人の友達や現地の友達に頼って家探しをした。フェイスブックは、無料で探せるけど詐欺に合った友達の話(デポジット払ったのに、家に行ったら家がなかった)を聞いて、100%は信用できない。
でもある時、フェイスブックに日本人の方が部屋の空き情報を投稿されていた。4000クローナ(9万円くらい)で、センター街から自転車で25分、最寄り駅まで徒歩5分だけど、半地下の家だと記載されていた。いいねの数は見るたびに増えていて、とりあえず私はすぐにその家の家主にメールをした。メールはすぐに返ってきて、WhatsAppでやり取りをすることになった。部屋の写真や上の階(地上の家)に住んでいる家主の家族の写真(綺麗そう)を送ってもらい、怪しい点はなさそうだし、何より日本人の方が投稿されていた家なので、内見に行かず(当時ボーンホルム島に住んでいたので行けなかった)そのまま契約書を書いて家を決めた。
デポジットと、2ヶ月分の家賃を一緒にすぐに払えと言われ、デンマークに来て初めての大きな出費だった。
引っ越して来て、家に着くと家主がちょうど仕事終わって返ってきたタイミングで、鍵を渡してくれて部屋まで案内してくれた。
部屋を見るやいなや、汚さと暗さに圧倒され、私こんな場所に住めない絶対に無理、と拒否反応を起こした(まだ家に来て2分も経っていないのに笑)。
蜘蛛がたくさんいて、かび臭くて、埃臭く、本当に汚かった。Wi-Fiも使えるけれど、奥の方の部屋に行くと電波が届かないので、手に携帯を持って地上の方に手を上げながら電波をキャッチして使った。
韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」を思い出し、まさしくこれが彼らの住んでいた半地下住宅だと思った。当時は仕事もなく、友達もいなかったので、本当に辛かった。気づいたら泣いているくらい、情緒不安定だった。
でも、少しずつ友達もできてきて、一緒に狭いキッチンで料理を作ったり、映画を見たり、お泊り会をしたりして、半地下でも楽しく過ごせるようになった。
最初は拒絶反応だった家も、だんだんと家っぽくなった。何にもない場所でも、気持ちを上げて自分で楽しんで暮らしてれば、住めば都になるんだなって思った。
まぁそれでもリラックスしきれない自分がいて、家探しは止めなかった。すると友達が住んでいた部屋が空くという情報をもらい、前回の反省を活かして内見に行った。
5階の眺めの良いアパートは、センター街から自転車で15分かからないくらいのすごく素敵なアパート。友だちの紹介もあって、6000クローナ(13万円くらい)だけど、なんとか交渉をして、毎週掃除や料理、子どもの世話をするという契約で4500クローナにしてくれるというので、契約書を書いて、無事引越し先が決まった。
結局のところ、コペンハーゲンの家探しは、結局はどれだけコネクションと情報収集能力があるかだなと実感した。
半地下で住んだ経験(4ヶ月)は、人生の中でとても大きなものだった。ちょっとだけ、強くなったと思う。あの場所に住んだからこそ、わかることがあって、小さな幸せを見つける能力を身につけることができた。
パラサイト、半地下生活の終わり。良い思い出である。