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【復習記事】コンピューターサイエンス単元|生成AIや技術革新がもたらすもの(1)
この記事は、LAP(Liberal Arts Program)のコンピューターサイエンス単元の講義を受けての復習の記事です。
予習記事はこちら▽
講義の内容
今回の講師は、株式会社Fusicの取締役副社長 浜崎陽一郎さんでした。
イントロダクション
2020年から主に生成AIの影響によって、世の中が加速度的に変化している。
しかし、テクノロジーは、突然出てくるものではなくて、地続きの長い積み重ねによって生まれる。最近出てきたかのように思われていても、裏側では地道に研究されてきたものである。例えばメタバースは、生成AIに注目が奪われたことによって忘れ去られ、廃れた分野のように見えても、研究は続いている。
生成AIも、突然注目が集まっただけにすぎないのかもしれない。
テクノロジーについて、今起こっていることはを説明するのは簡単である。しかし、なぜそれが表層にあらわれているのか、過去からのつながりを読み解かならなければならない。そうして未来を予測する。
だからこそ、「歴史」や人との関わりについて着目し、テクノロジーについて考える。
IT業界について
ITの世界が取り扱う新技術に関して、知っている人と知らない人の間に大きな情報の格差がある。IT業界は、その差を利益に変換することで成り立っている。
しかし、当時誰も知らなかったインターネットを活用して大金を儲けたとしても、今では誰もが知る技術となったことでそのビジネスは成立しないように、時代の流れとともに差は縮まっていく。
そこで、さらに新しい新技術の情報をつかみ、情報の差を広げることで利益を確保する。成功しても、数年で廃れる可能性がある。失敗しても、新しい波がすぐにやってくる。IT業界で生き残るためには、変化の激しい世の中の流れを認識し、情報の差をビジネスに反映し続けなければならない。厳しい世界である。
チーム発表
①Aチーム まりもん
AIはどのような仕事を奪うか:心をあまり使わない仕事
創出する仕事:AIのタレント事務所(実例あり)
【質疑応答・コメント】
・生成AIの台頭によるハリウッドの映画のストライキ
・AIにスキャンダルがない点
・一方でAIのモデルは完璧すぎて、人間らしさがなくなじめないかもしれない
②Bチーム ラガーっちゃけど
AIはどのような仕事を奪うか:事務、データ処理、カスタマーサポートなど
具体例)銀行員、ライター、役所の仕事
創出する仕事:AIを取り扱いに関する国家資格の誕生
<その他>
・需要が増す、残る仕事は、AIにはない人間らしさを必要とする仕事?
人間らしさ→ユーモア、想像力、感情など
具体例)データサイエンティスト、お笑い芸人、カウンセラー、研究者
・新たな税の導入?
【質疑応答・コメント】
・翻訳に関しては、Google翻訳とは構造が違う
・コンピューターはバイオリズムの影響を受けない
コンピューターにない人間の感覚のばらつきなどを活かしている点で、お笑い芸人はコンピューターに競合しないかもしれない
③Cチーム Cotton100%
奪う仕事:客観的に測れるもの、すでにだいたいの正解があるもの
創出する仕事:AIを運用するにあたり、必要な仕事。属人性が高い仕事。
<生まれた問い>
市場の外にあるはずのコミュニケーションを、商品価値とするのは悲しくないか?
政治家はAIにとって替わられるのか?
新たに生まれ変わる仕事
「自らの肉体を介して世界と応答する喜び」が関係?
【質疑応答・コメント】
・政治って?なぜ人がやるべき?
➡時間軸に左右されず、一貫した意志決定ができるかどうかが重要になる
cf. 時間軸
・宮司さんは1000年後の神社のあり方を考えているらしい
・400年後に残る20本の木のために100本の木を植えるらしい
cf. 意志決定の問題 多数決を選ばない勇気を持てるかどうか
・コミュニケーションが私たちの仕事になる?
仕事を分解すると、コミュニケーションだけが仕事ということもありえる。
例えば、先生は採点は任せ、生徒と保護者のコミュニケーションだけでいいかもしれない。
④Dチーム こたつにぽたぽた
奪う仕事:デザイナー、事務的な仕事
※奪われない仕事:人間らしさが求められる仕事
コミュニケーションを使う仕事(接客、介護)、コンサル、芸能、スポーツ
創出する仕事:一般AI管理職、AI専門職
<その他>
・事務仕事を奪ってほしい
・学校の教育システムを変える必要がある?
【質疑応答・コメント】
・教育システムに関して
学ぶタイミングは人それぞれ
どう変えたい?
➡枠組みの設計と目的を問うことのトレードオフ
レクチャー
【コンピューターの歴史】
2010年代までのIT業界までは、ハードウェア、ネットワーク、ソフトウェアが分かれ、Wintelの寡占状態だった。
2010年以降、クラウドコンピューティングによって技術と技術の垣根がなくなり、アイデアさえあれば簡単にソフトウェアに実装できるようになった。
結果、多くのスタートアップが起業した。
2020年からは、生成AIの登場によって、人と技術の垣根がなくなる時代となった。
【生成AIについて】
1950年後半~60年:第一次AIブーム
1980年~1990年代初頭:第二次AIブーム
2015年~:第三次AIブーム
以前までは人間で条件を定義しなければならなかったが、画像の特徴をAI自身が抽出できるようになったため(=ディープラーニング)、近年急速に成長した。
2017年 Googleの論文「Attention is All You Need」より、Transformerが注目されるようになる。
生成AIは、ビッグデータから特徴を抽出して次のパターンを予測する。その原理で言語や画像を生成する。
さらにここ1~2年で、私たちが使う「言葉」から、文章や絵、音楽・動画が作れるようになった。これまでお願いしていた専門的なことを自分で簡単にできるようになり、個人の生産性を劇的に上げられるようになった。
【講師の浜崎さんの考え】
人と技術の垣根がなくなる時代の大きな変化:
・技術を操るためのツールが「言葉」になる
・AIをうまく活用する人が、活用していない人の仕事を奪う
画像生成ワーク
お題:AIを使って、「あるヨーロッパの競技場で、観客が大盛り上がりしている情景」の画像を生成する。
講義のまとめ
「なんかいい」と思ったことを、自分なりの言葉にして表現してみること。ビッグデータに含まれる数値や言葉より、言葉にすることが難しいことに目を向け、表現できるようなスキルを磨くことが重要となると思われる。
(参考:書籍『シン・ニホン』)
講義の感想
最後のワークで、みんなで画像を生成するプロセスが面白かった。また浜崎さん自身も、恐らくAIも含め新しい技術を楽しむ方なので、講義全体を通して楽しい感じたった。前までは、AIや技術革新に対して、新しいものに飲み込まれてしまうようなプレッシャーを感じていたが、前向きに楽しんで取り入れられるようなマインドに変わったような気がする。
講義に関しては、ITの分野の潮流やAIに関する知識を補強し、理解を深められたと思う。LAPが取り扱うテーマは、古い時代から続く普遍的な問いが多かったので、今回の講義は時代の新しさに挑戦するフィールドならではの違う雰囲気があり、新鮮だった。浜崎さんは、AIを歴史から紐解き、その延長線上から未来を予測するという趣旨で講義のお話をいただいたが、その時点ではあまり歴史と新しすぎるように感じる生成AIの世界が一貫してつながらなかった。もう少し時間をかけて歴史から再解釈する必要があると感じた。
人と技術の垣根がなくなる時代。
専門家・分業化された技術のシステムをAIが大衆に開放し、再構築するとき、一体何が起こるのか。要素ごとの関係が複雑化し、むしろ生態系のようになり、弱肉強食の社会が生まれるような気がしてくる。
憶測でしかないので、もう少し冒険してみようと思う。