懐かしい未来
魔法使いの弟子 11
色ヶ浜からいよいよ浄化は始まった。
敦賀湾に面したこの浜は、水も美しいと評判で、砂の小島二つからなる水島を眺めることもできた。
シャンタンは既に、「かなりキツイ」と言って、身構えていた。
恐らく、旅に出る前から今回の相手がどういうものであるのか、ハッキリ分かっていたのだろうと思われた。
というのも、先に触れたように出発前に今までにないほど大量に「平和の水」を、大型の焼酎やウイスキーのペットボトルの容器に入れて用意し、車に十数本も積んで来ていた。
私も色ヶ浜当たりの観光地が寂れているのを感じ取っていたので、それをシャンタンに言うと、その直感が正しいと認めてくれた。
二人でそれぞれの祈りと思いを込めて、爆弾のような「平和の水」に気合もろとも念を入れてから、海に放り入れた。波しぶきが上がったが、あっという間に波間に呑み込まれてしまった。
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