根掘り葉掘りをやめる #116
栄養士として病院に勤務していたころ、患者さんの情報を収集するために、根掘り葉掘り質問をしていた。
当時の私は、丁寧なアセスメントと的確な栄養指導ができる栄養士に憧れていた。
患者さんの情報収集に必死だったけれど、もしかすると患者さんは私の質問攻めに圧倒されていたかもしれないし、若い栄養士が頑張っているなと、仕方なく付き合ってくれていただけなのかもしれない。
子育てでも一緒で、
好奇心で、根掘り葉掘り質問すると嫌がられる。
神田橋條治先生によると、これは「探検的関心で訊く」ということだそうだ。
恥ずかしながら、当時患者さんのためによかれと思ってやっていた根掘り葉掘りの質問攻めは、いま改めて振り返ると、自分の知りたい欲求を満たしたかっただけなのじゃないかという気さえする。
人への興味関心は強いほうなので、毎日出会う患者さんのプライベートを知るというのが、単純に楽しかった。
ただ、カルテにびっしりと書き込んだ情報、つまり質問攻めから得たコメントの中に、次に繋がるヒントは本当にわずかしかなく、当時はそのわずかな情報を探し当てるために、必要な対話だと思っていたけれど、随分と一方的だったかもしれない。
相手のことを、もっと知りたいと思ったとき、質問攻めにすると、相手は居心地が悪くなる。
相手が発する言葉以外の情報を、五感を総動員して読解することが、「丁寧に聴く」ことに繋がるのだなと思う。