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チャリンチャリン太郎【毎週ショートショートnote】

1966年3月 富士テレビ 企画室
5月から始まる、時代劇の最終打ち合わせが行われていた。
あとはドラマのタイトルを決めるだけだった。
しかし、頑固な脚本家のせいで朝から揉めている。

監督「先生、お願いしますよ。」

脚本家「いや、タイトルだけはどうしても譲れません。」

プロデューサー「先生、そこをなんとか…」

そこへ主役の俳優と初回特別ゲストのお嬢と呼ばれている芸能界一の大御所女性スターが入って来た。

「どうしたの?」お嬢がそう言うと助監督が経緯を話した。

お嬢「そうね、ちょっとトミーのイメージに合わないわね。先生今回は私に免じて折れてくれません?」

脚本家「お嬢に頭下げられちゃ嫌と言えねえでしょ。」

お嬢「ありがとっ。」

監督「それではドラマのタイトルは銭形平次に決まりました。」

全員拍手👏

プロデューサー「お嬢、ありがとうございました。おかげで助かりました。」
お嬢「いいのよ、いくらなんでも チャリンチャリン太郎 はないわ!」

405文字

この作品はフィクションです。登場する人物団体は全て架空のものです。実在するものとは一切関係ありません。

注:  美空ひばりは大川橋蔵のことをトミーと呼んでいたそうです。

たらはかにさんの企画に参加しております。

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