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アナログ巌流島【毎週ショートショートnote】

慶長17年(1612年) 4月13日 巌流島

小倉藩剣術指南役 佐々木小次郎は、対戦相手の宮本武蔵を待っていた。

約束時間のうまの刻(午後12時)はとっくに過ぎていた。そこへ海から小舟が一艘岸へ近づいてきた。

「待ちわびたぞ、武蔵!」

「まだ時間ありまっしゃろ、メシ食べてないねん、途中で弁当うてきたから食べてええかな?もしよかったら、余分にうてきたからいっしょにどう?」

「…」

「遠慮せんでええよ、自分俺より年下やろ、俺奢ってあげるから。さばの塩焼き弁当とかあるけど、あっ若いから揚げ物の方がええかな?
タルタルチキン南蛮弁当とか結構若い子に人気やけど?」

武蔵は「宮本むなし」という定食屋で買ってきた弁当をレジ袋から出した。


武蔵は針の止まったアナログ時計を見ながらゆっくりと弁当を食べている。

電波時計を見ながら(もう時間過ぎとるがや)と思いながらも気が弱い小次郎はタルタルチキン南蛮弁当を食べていた。


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