ふりかえるとよみがえる【#毎週ショートショートnote】
横浜市内某公立高校 23時50分
「先生、やっぱりやめようよ。」
「何言ってるのよ、さあ入るよ。」
女子バレー部の前キャプテン黒崎サオリと非常勤講師の杉本桂は夜中の音楽室の前にいた。
この学校には、ふりかえるとよみがえるという都市伝説があった。
夜中の音楽室に行って、ピアノの鍵盤の蓋を開けて、ベートーヴェンやバッハの肖像画を見て、午前0時にピアノの方を振り返るとベートーヴェンやバッハが蘇りピアノを弾くいう伝説だ。
別の説では弾いているのはフリカエルとヨミガエルという恐ろしいカエルの妖怪という説もあった。
2人はこの伝説の正体を確かめるため音楽室にやってきた。
23時58分 鍵盤の蓋を開けた。
桂はベートーヴェンをサオリはバッハの肖像画を見ていた。
… ちょうど午前0時になった。2人が同時に振り返るとピアノの音が鳴った。
「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ミ」「レ」「ド」
恐る恐るピアノの方に行くと鍵盤の上に1匹のヒキガエルがいた。
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』
405文字
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