穴の中の君に贈る【毎週ショートショートnote】
「ママ、この人敵兵じゃないの?」
「病人やケガ人に敵も味方もありません、すごい熱だから早く中に運びなさい」
…
「ここは…?」
「あなたはこの洞窟の外で倒れていて、熱にうなされて3日間眠っていたのですがもう大丈夫だと思います」
「私が敵国の兵士と知っていて助けてくれたのですか?…」
「おーい誰か中にいるのか」
私がいなくなって仲間の兵士が探しているようだ。
「私は行かなくてはなりません、ご恩は生涯忘れません。何か私にできることはありませんか?」
「じゃあ、この手紙をサンタさんに届けてください」
娘が私に1枚の紙切れを渡した。
(そうか今日はクリスマスか)
「ご無事でしたか!」
「心配かけたな、体調が悪くてここで休んでいた、中には誰もいない、よし行くぞ」
数ヶ月後
「あなたは、軍事政権を倒し戦争を終わらせて民主政権を樹立されましたがあなたをそこまで動かしたものは何ですか?」
私は1枚の紙切れを出した。
「サンタさんへ、世界を平和にしてください」
410文字
たらはかにさんの企画に参加させていただきます。