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生き写しバトル【毎週ショートショートnote】

1926年アメリカ

前年に俺の製作したサイレント映画「黄金狂時代」は大ヒットした。
監督、脚本、製作、主演、をすべて俺がやった。

飢えや孤独などに翻弄されながら、黄金を求めて狂奔する人々をヒューマニズムとギャグで面白おかしく描いた作品だ。

特に空腹のあまりに靴をゆでて、靴底の釘を鶏肉の骨のようにしゃぶり、靴ひもをスパゲティのように食べるシーンはバカウケだった。
興行収入400万ドルで俺は一気に大金持ちになった。

俺は世界的有名人になり、俺のモノマネをするタレントやそっくりさんが大勢現れた。
そこで俺は「チャップリン生き写しバトル」なるものを主催した。
優勝者には高額賞金を与えることにした。

俺は金だけ出して一切口出しせず、段取りは弟子たちにやらせ、審査員は親友の映画監督や脚本家に頼んだ。
無類のイタズラ好きの俺は誰にも内緒でこれに出場した。


「優勝は38番のハロルド・ロイドさんです。おめでとうございます」

… 俺は予選落ちした …


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