過去
今日は、実家の帰省から帰る日だ。
(投稿日は9/21となっているが、実際は一ヶ月前に書いた日記を後から再構成しているため、執筆日が前後している。)
とはいえ、地元で会う人などおらず、なにもせず家で孤独に親と過ごす日々を送った。
寂しさと絶望に押しつぶされ、ひたすら辛かった。
母校の周辺に、ふと立ち寄った。
そこにはもう、何も残っていなかった。
残っているのは、2年前の記憶だけ。
毎日通った通学路
やたら長い赤信号
帰り道いつも眺めた喫茶店。
いつも車道の向かいから眺めていた同級生たちは、そこにはもういない。
今日、初めて、その場所に立った。
皆の見ていた景色は、こんなのだったんだと、もう手遅れになってから、初めて知った。
あの頃は彼らに話しかける勇気が無かった。
この街に、僕を知る人は、もう誰もいない。
何かを期待していたのだろう。
ここに来れば、自分が求めている居場所があるかもしれないと。
しかし、皆、とっくに前へ進んでいたのだ。
その街には、もう何も残されていなかった。
ただ、見かけだけはずっと変わらない。
記憶の中のこの場所と同じだ。
あの頃の一瞬一瞬は、景色の奥底にかすかに揺らめく記憶となって漂っている。
皆、先へ進んで居なくなった。
僕は、未だに前へ進めずにいる。
もう誰も残っていない、知らない街をひとり、意味もなく彷徨った。
昔からそうだ。
中学の頃は小学校、高校の頃には中学校の周りを、今は無くしたあの頃の幸せを求めて歩き回った。
過去に描いた絵を引っ張り出してきては一日中眺めてみたり、昔の日記を漁っては読み返したり。
いつまでも過去の記憶にすがっていたのだ。
今の自分が、心から望むものを探して。
今と向き合うのは辛いから、いつまでも過去を引きずり続けるんだ。
そうハッキリとは自覚せずとも、どれだけ頑張ったって、結局、自分の求めているものは手に入らないだろうという絶望に直面しているのだ。
ダメだ、こんなんじゃ。
新しい出会いに目を向けよう。
もう、前へ進もうじゃないか。
このままこの生を消費しても、何年後かには、きっと、同じことを言っているだろう。
大学生の頃は良かったな、と。
僕は今、何も無い騒がしいホームの中で、ぼうっと線路を眺めている。
僕はもう、この街に戻ることは、二度とないだろう。
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