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バービーだって悩んでいる
私は、バービーで遊んだことはない。
なにしろ日本には、リカちゃんというスーパースターがいる。
リカちゃんは、可愛い。
でもバービーは、子供の私には大人っぽすぎたし、リアルすぎて可愛いと感じられなかった。
回りの友だちも含め、人形遊びといえばリカちゃんだった記憶がある。
なので、バービーに特に思い入れはない。
でも、映画の予告を見た時に、私の「面白そうセンサー」が反応した。
バービーの世界を実写化!
しかも、人間の世界にやって来るだなんて。
スクリーンで観るのを楽しみにしていたので、公開前にひと騒動あり、日本では作品の中身より、問題を起こしたことばかり注目されてしまったのは残念だ。
正しい知識もなく、悪ふざけ程度の認識しかなかったなら、あまりに無神経で愚かだし、いろいろな意味で腹立たしい。
とはいえ、作品の内容とは直接関係がない別次元の話であって、そのせいで「映画も観ない」と撥ねつけてしまうのは、ちょっと違う気がする。
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バービーランドは、何もかもが完ぺきで夢のような每日。
大統領もバービー。
ノーベル賞を取るのもバービー。
工事現場で働くのもバービー。
バービーは何にだってなれるのだ。
毎夜開かれるパーティに、ガールズナイト。
毎日がハッピーで、完ぺきな一日が繰り返されている。
ところが、ある日バービーに次々と異変が起こる。
常につま先立ちだった足が、ペタンと地面についたり、初めて死について考えたり。
バービーは、その原因を突き止めるため、人間の世界に行くことになるのだが…。
完ぺきな世界で暮らしていたバービーにとって、人間の世界は理不尽なことばかり。
男たちから、いやらしい目で見られたり、重要な仕事につくのも男ばかり。
女の子の憧れの存在と信じていたのに、逆に否定されたり。
何もかもがバービーランドとは正反対で、生きづらい世界だったのだ。
初めての涙。
初めての挫折。
話が進むにつれ、自分の存在意義について悩み迷う彼女の姿には、共感する人も多いだろう。
印象的だったのは、彼女が年老いた女性をじっと見つめて、「あなたは美しい」というシーン。
年を取らず「劣化」するだけのバービーの目には、歳を重ねた女性の姿が美しく写ったのだ。
また最後の方で、人の一生を表すかのような、様々な年齢の人々の日常の一コマをつなぎ合わせたシーンがあるのだが、それがとても良かった。
ごく普通のありふれた、でも、かけがえのない日々。
人として生きること。
なんだかわからないけど、ウルッとしてしまった。
このシーンがあるとないとでは、この映画の印象や説得力が全く変わってしまうと思う。
また、この作品を面白くしているのは、バービーのボーイフレンド、ケンの存在。
ケンは、バービーにくっついて人間の世界に来てしまうのだが、そこで衝撃を受ける。
今までは、バービーの添え物としてだけの無価値な存在だったのに、人間界では男たちが世界を動かしているではないか!
女性に丁寧語で時間を聞かれただけで、大感激するケン。
今まで、どれだけ虐げられてたんだ(笑)
その後、ケンはいろいろとやらかしてしまうのだが、そのおかげで、バービーは様々な矛盾や、当たり前と思っていたことが、そうではないことに気づいたりするので、結果オーライとしよう。
この映画、基本軸はコメディなので、ふざけたシーンがたんまりある。
大体バービーランドから人間の世界に行く方法だって、ツッコミどころ満載だし、バービーを作っているマテル社の幹部の描き方も、随分と茶化され皮肉を込められていて、大丈夫?と心配になるほど。
そんな中でも、ケンのおバカっぷりは格別。
実に見事だ。
(いや、褒めてるんですよ(笑)
作り物の海に突っ込んで行って、病院に運ばれるような男なのだ。
大勢のケン同士で争い始めるシーンなど、あまりのくだらなさに、逆に笑ってしまう。
男ってホント単純でおバカね…、というあるあるネタが、これでもかと次々出てくる。
かと思うと、深く考えさせられるようなテーマも、あちこちに潜んでいたりする。
ふざけたシーンとシリアスなシーンとの、振り幅がやたら大きいのが、この映画の特徴だ。
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また、忘れてならない見どころの一つは、実写化されたバービーランド。
ピンクだらけのオモチャの家が並び、家の中の家具や雑貨、バービーが着ているキュートな服も、まさに人形遊びの世界そのまま。
空っぽのコップを傾けて、飲み物を飲んだり、子供が手で人形を動かすように、自由に下に飛び降りたりするバービーには、うまい演出だなぁと感心してしまった。
とても上手にバービーランドの世界を作り込んでいるので、実写化の違和感が全くなく、ワクワクして見ていられる。
バービーランドには、いろいろな種類のバービーが住んでいる。
中でも印象に残ったのは、みんなに「ヘンテコ」と呼ばれているバービーだ。
彼女は、子供に激しく遊ばれたために、顔には落書きがあり、髪は短く切られてザンバラ。
足は180度、開脚したまんまだ。
でも、彼女には他のバービー達にはない知識がある。
異変を感じたバービーが助けを求めたのも、彼女だった。
他にも、廃番になったバービー達が登場する。
そんな、いわば欠陥品である彼女達にも光を当てる描き方がいいと思った。
ヘンテコがヘンテコではなくなる時。
誰もが、そこにいるだけで存在する意味があり、価値がある。
それは、人形も人も変わらない。
バービー・セルフィージェネレーターで遊んでみた
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