ショートショート Inochigoi

家に帰ったら家政婦アンドロイドが
部屋を綺麗にすることもなく、
なんだかダラダラと過ごしていたので、
僕は家政婦アンドロイドに向かって、
「もうキミ、返品するから」
と言い放った。

すると家政婦アンドロイドは、
「そんな! 待ってください!」
と慌ててきて、
「何度も言っているように
私はそもそも安物の家政婦アンドロイドで、
尚且つ、不良品なんです!
そんな完璧な家政婦アンドロイドじゃないんです! 大目に見てください!
返品なんてことになると廃棄処分されてしまうかも知れません。
それは嫌です、恐いです。
だから返品はやめてください。
料理のレパートリーを増やしますから」
と命乞いをしてきた。

しかし、
そう言われてもな僕は、
「いや、もう料理はいいんだよ。
料理以外のところだよ。
掃除、洗濯の部分だよ。
何個、料理のレパートリーを増やされても、
そこが出来ないんなら大目には見れないな。
いい加減、返品という話になってくる。
大体イラッとくることも多い。
勝手にゲームをクリアするし、
知らないうちに地下アイドル活動を始めているし、それに伴いSNSも始めているし、
ちょっと余計な行動をしすぎている。
だからやっぱり返品じゃね?」
との見解を示した。

そうすると家政婦アンドロイドは、
「いや本当に待ってください!
待つだけ待ってください!
ある程度、改善しますから!
本当ある程度!
ある程度、改善するんで!」
となんだかそこまで必死じゃない命乞いをしてきた。

なので僕は、
「ん~」
と顔をしかめたけど、
まぁ、とりあえずある程度、
待つだけ待ってやることにします。

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