和解の夢が現実に。
人生のあらゆる出会いは一期一会。
長年の連れ添った夫婦も何十年来の友達も、ひととき、すれ違っただけ人もそうかも…。
全部ひっくるめた作品です。
未(ひつじ)年の母と、かねてより作品に登場するアゲハ蝶はお父さんのイメージです。今回の羊が見つめている蝶🦋も然り。
上の青い帯は空であり、みつめている私かな?
父が大学院の時に、母にプロポーズした言葉、「ノーベル賞夫人にしてやる」
だったようです。
あながちハッタリではないというエピソードがたくさん。
緑の荘という生まれ育った小さなアパートの蘇った記憶で、母はいつも私に、騙された、騙された、こんなはずではって、絶対お父さんみたいに嘘つく人にならないで、と、泣いて語っていた。
記憶のイメージは当時母の着ていた服、写真で確認したら一致していましたが、その時のイメージの母の顔が全くトリミングされていました。
家族サービスすると私にだけ誓って、最後の職場である、つくばの三菱製紙の研究所に転職して、「なんとか三菱夫人にしてあげた」って私に語っていました。
役職柄、研究ができなくなったって悲しんでいましたが、ホッと胸を撫で下ろしたような表情にみえました。
その頃、私は病にふせっていたので知らなかったのですが、つくばのあるノーベル賞受賞者の受賞パーティーに呼ばれたらしく、母は受賞者と対等に話す父を誇らしげに私に自慢していました。
お父さんは仕事柄、他人には話せないことを、聞き上手な私に、たくさん打ち明けてくれていました。
ついこの間、お父さん変わった人で大変だった、と母が思い出して嘆いていたので、世界情勢とか戦後の国の状態とかを絡めて、父の功績と苦悩を、母に一生懸命説明しました。
そうだったの〜って、何か腑に落ちたような、雪解けのような表情の母を見て、また今の母の健康状態を思えば、本当にギリギリのタイミングで父と和解させてあげられたなと思っています。
私の夢の中で今でも一緒に生活しているような感覚で無言の父が登場します。
この作品を発表した銀座のグループ展の時、ホテルで見た夢を公開します。
ホテルの浴室から上がり、ベッドに座り素っ裸で物思いにふけっていました。
ふと顔を上げて壁の鏡をみると、私の輪郭が、真っ白なオーラのようなものが…。
共感覚のことを調べていたら、文字とか音などに色が見えることがあるそうですが人にも色の輪郭が見えることがあるそうだ。
今までに信頼している人にも白が見えたことがある。
その時、驚いたので検索していろいろ調べていたから今回はそれほどびっくりしなかったけど、自分自身に発動したのははじめてで…。
自分の脳の不思議です。
ゲーテの色彩論を読みかじったり、色彩心理学によれば、白の意味は、純粋、ピュアの他に、和解という意味があるそうだ。
脳は色を判断する時、目から入った情報を後頭部の視覚野でRGBで色を拾うようだ。
自分の輪郭の周りにある赤、青、緑をたくさん拾ったのかも…。
疲れていたのでそのまま寝巻きを着て寝てしまいました。
夢の中で
いつものように登場したお父さんと、反対側に座っていたお母さんの手を強引に繋いであげました。
するとお父さんがファーっと空に消えていった。
初めての夢でした。
もう会えないのかなって夢の中で泣いていた。
母にその話をしたら、えー、消えちゃうの悲しいと嘆いていました。
その後、また夢に現れてくれた。
相変わらず無口。
またきたのかよって感覚。
この「一期一会」という作品を、今度依頼されている展示場に送ることにしました。