アメリカでのこと #14ビリー・ジョエルを聴きながら飲むCoors Light
アメリカにいた時 ラジオから聞こえてきて 耳から離れなかった音楽がある。
ビリージョエルのピアノマン。
繰り返し流れていた。
ハーモニカのような楽器から始まり、ピアノが鳴る。歌が入る。
酒場にいる人間のなんてことないエピソードを描いた歌だけど、歌詞からその人物の輪郭が浮かび上がる。
なんとなく人生でうだつが上がらない人々。
これを聴く人は、その詩の輪郭の外にある直接描かれていない人生のやるせなさみたいなものを感じとるのだろうか。
ピアノのメロディとハーモニカの部分が聞いた人それぞれに脳内補完させる曲だと私は思っている。
みな人生をほんの少しだけ忘れる為に、ここ酒場へに来ているという。
お酒がひととき痛みを、鈍らせる感覚はなんとなく理解できる。
あまり思い出したくもないが、結果を出せず、自分の能力の限界に嫌気がさしてた頃。若い時は、どうしてもそれに真正面から向かい合えなくて、たいして飲めもしないお酒の力を借りよくその「なにものか」から逃げたものだ。
感傷ごっこには強いお酒など不要で、薄い薄い味のbeerで十分だった。
粋な広告出しちゃう会社のビール。
よく購入した。
破格の安さだったと思う。
今も米アマゾンで12oz(約340ml)が12本入って9.99ドルほどで売ってるのをみつけた。
良く飲んだ。
水のようなビール。万人受けはしないだろう。日本でも同じメーカーのビールが販売されてたようだが2017年早々に撤退している。
チープな味にチープな料理、そしてチープな悩み。
実際は贅沢な悩みで、悩める事自体が幸せだったのだよと、過去の自分に教えてあげたい。
環境が変わり、付き合う人が変わり、アルコールはすっかり遠のいてしまったけれども、日本で買える薄っすいビールでハンバーガーでも食らいながら、誰かと話をしたくなった。