隣人の愛を知れ【読書記】
「人生でいちばん好きな人となら、幸せになれますか?」
残酷な問い。
好きな人といることが幸せ、好きな人といれば幸せになれるという、わたしたちにとっては当たり前と思われることが、そうではないかもしれないという逆説的問い。
「恋」は幸せの具現化でありながら、幸せは幻想であると身を持って知らされるもの。
恋における幸せは絶対的なものでありながら、それとは反対に傷つく時には幸せが大きいほど相対的に傷つくもの。
盲目に突き進んでいても、いつかどこかで決着をつけなければいけない場面が出てくる。
でもだからこそ刺激的で、一種の中毒のように私たちは恋をするのかもしれない。
この物語に出てくる女性たちにはそれぞれ想い人がいるが、全てが全て幸せとは言えないし、幸せでないとも言えない。
そんな日常でありそうなお話。だからこそ共感できる。
そして尾形真理子先生の各章ごとのコピーが沁みる。
わたしが好きなのは第3章。「風はすべて追い風。わたしがどこを向くかだ。」
これは恋する人だけでなく、もちろん女性だけでなく、どんな人にでも当てはまるメッセージ。
何かで傷つきそうになった時には、違う方向を向いてそれを追い風にできるような人間になりたいな。