立ち上がれ 藤浪晋太郎
どこを歩いても 大谷翔平くんである
WBCも勝った
今年は本塁打王も夢じゃない
投げても素晴らしい
また打った
ほら投げた
高校時代から立派な目標を立ててた
玉拾いはする
礼儀正しい
おまけに通訳まで良い人だ
患者さんにも大人気
ありがたい話だ。世の中明るくしてくれる。
でも、みなさん
誰か大事な人。忘れてはいませんか?
そう
藤波晋太郎ですよ
大阪桐蔭高校出身
元 阪神タイガース
現 オークランドアスレチックス所属
また打たれた
ブーイングされた
投げ方がどうのこうの
イップスじゃないのか
ああだ こうだ
なんだ かんだ
みんな言いたい放題だ
人生 負けが込んでくると、冷たいもんだ
僕なら断然、藤浪晋太郎を応援したいね
(田中のマー君だってこれからだ)
僕にとって永遠のヒーローは「ゴリラーマン」
なんだけれども、ハロルド作石の傑作に
「ストッパー毒島(ぶすじま)」がある。
主人公 毒島大広(たいこう)は
京浜アスレチックスの投手である。
体格良く、性格もサッパリしているが
素行不良から不遇であり、まったくモテず
人生ピンチばかりだ。
なのに、彼は太々(ふてぶて)しい。
何度でも立ち上がる。
彼は正しく日本少年漫画の主人公の系譜にある。
「1・2の三四郎」の東三四郎から
「スラムダンク」の桜木花道
「クローズ」の坊屋春道
彼らは、超人的な活躍と刹那的な輝きをみせる。
そして、大人にはならない。
桜木花道はバスケを初めてほんの数ヶ月で
再起不能かと思われる怪我をした。
物語は道半ばで終わる。
坊屋春道は最高の不良であったが
仲間たちが大人にさしかかる頃
その行方は杳と知れなくなる。
彼らは「永遠の少年」の元型を生きている。
ストッパー毒島は怪我をしても馬鹿にされても
変わらない。何故か、あきらめない。
スポーツ新聞に「毒島 今期絶望」とあっても。
毒島のユニフォーム(京浜アスレチックス)は
奇しくも今の藤浪そっくりだ。
彼らは往生際が悪い。無茶苦茶悪い。
東三四郎は(プロレスラーになる)と
心に決めたら「沢山ごはんを食べて」
自らの体を大きくさせた。
この東三四郎について、Wikipediaには
「馬鹿力で、石頭で、スケベで、傍目からは
自信過剰と思えるほどに自分の強さを裏付けとした自信に満ち溢れている」とある。
最高じゃないか。
彼が尊敬するのは、アントニオ猪木である。
大谷くんが偉大なのは、世界が知ってる。
でも、僕が読みたいのは藤浪晋太郎の物語だ。
(大谷くんにはとても投影できないよ)
藤浪のストレートは160キロを超えるが
マウンドに上がるまでどうなるかわからない。
今を生きる相似形のような球を投げる。
人の助言に容易に耳を貸さず、制球は定まらず
阪神時代にはコロナにもなった。
海を渡っても、藤浪は変わらない。
マウンドでまた火だるまになるかも知れない。
本当はどんなにか怖いだろう。
それでも彼は投げる。
投手はそうであるからだ。
ダメならダメなままの自分で勝負するしかない。
ヤケクソか開き直りかメンタルギリギリか。
彼はまだ(参った)していない。
これから居場所を転々とするのかも知れない。
或いは野茂英雄のようになれるかも知れない。
こういう時代には、新しいものを取り入れることが好まれるかも知れない。
うまく出来る人もいるだろう。
しかし、滅んでゆく最後のものまで使い切りたい人間もいる。
そんな風に足掻く人間を自分は尊敬する。
そう言えば
逆境にある患者さんほど
藤浪のことを悪くは言わなかった。
そんな気持ち ちょっとわかるんだ。
立ち上がれ 藤浪晋太郎