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最前線物語 リー・マービンと花飾り

もし、この人を隊長に自分が戦場へ行ったらどうなるだろうか?

職場の上司をこんなふうに見ることがある。
我ながら変な癖だ。

みな勇敢に戦う部隊となるが、次第に矢尽き刀折れ、最後には上司もろとも全滅するだろうか?

現場の不都合な事実より、大本営に良い知らせばかり報告して、最後は上司だけ助かろうとするだろうか?

知恵も金も運もなにを使ってでも、全員を生還させようとするだろうか?

あるいは、それ以外の道を辿るか?

コロナ禍で拠点病院がほぼ戦時下のような環境に置かれて久しい。とっくに非日常が日常化した。
こうも人は非情になれるものかという事が続くと、上司の弱さをただ責めることも出来なくなった。それはまるで私の相似形のようだから。


「最前線物語」は、サミュエル・フラー監督の戦争映画だ。新兵の一人を「スターウォーズ」のマーク・ハミルが演じている。若い兵達を率いる古参の隊長をリー・マービンが演じている。
彼の部隊は過酷な戦場にことごとく派遣される。それも最前線ばかりだ。
それでもなお、彼は兵士を生還させようとする。

リーダーシップという高級なものはそこにはない。彼はもはやとっくに善人ではない。
矛盾を抱えながら、未熟な者を率いている。

ある日、戦場で一服している彼に少女が近づいて、ヘルメットに黄色い花飾りをかける。
確かそんなシーンがあった。
大変美しく、忘れがたい。

バレンタインの日、院内をトボトボ歩いてたら、難病の青年がいつも肩から下げているポシェットから、小さなチョコレートをひとつくれた。
ポシェットにはいつも彼の宝物だけがつまっている。

なんだかリー・マービンになったような気がして誇らしい気持ちになった。
チョコはもうちょっと白衣のポケットにしまっておこう。

#仕事の心がけ

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