虐待の記憶
今でも夢でみる悪夢。
誰も助けてくれず、ただ恐怖と痛みに耐えるだけ。
もうすっかり、メンタルケアの甲斐あって
傷は癒えてきており
トラウマがフラッシュバックすることも少なくなってきた。
いや、もしかしたらこの傷は生涯共にしなければいけないのかもしれない。
私はまだわからない。
思考の歪みは整ってきた。
だけどまだそこに、あの記憶は残っているのかもしれない。
今はモヤがかかってしまって、あまり思い出せないが、思い出さないようにしているだけかもしれない。
だから、寝ている間に、それを見るのだろう。
私の深い心の底の部分を、誰かが共に居てくれたらいいのに。
それをして欲しい。
私が1番望んでいること。だけど、無理だから。
私は、自分で自分を守るしかないと、
裸のまま真冬の夜中に放り出されたあの時に
初めて知ったように。
いまだに私の心は凍えている。
だから、立ちあがろう前を向こうと必死なのか。
どうしたら力が抜けるのだろう。
分からない。いっそ殺してと何度思ったことか。
夢の中でも、私はそんな風に思った。
死ぬんだと思うと、やっと力を抜くことができる。
生きようとすると、身体は強張る。
この痛みを、誰か共にしてくれませんか。
ずっとそう思ってきた。
だけど、こんな風に苦しいのは私だけじゃない。
もっと苦しいことが、恐ろしいことが世の中に、世界にはあるんだと慰めてきた。
慰めなのか?
そう考えて、まだ耐えなければと小さい私は思った。
飢餓の方が苦しいはずだ。
だが、現実的にそうも言えなくなっている。
若い頃は勢いもあって、目を背ける無責任さもあってただ流されるように生きることができた。
だけど、大人になるってことは、
そんなんじゃいけないでしょう。
だんだんと、重たく大きくなってきた。
首を絞められているような感覚。
この悪夢はいつ終わるんだろう。
私は幸せに死ねるのだろうか。