「お前、・・・・・・・ユースに来たらなんとかなると思ってただろ?」
アシトに対する阿久津の言葉。
どこでサッカーをするか?
君は今、去年の夏に続いて2度目のメキシコサッカー体験中だ。
日本とはまた違った環境でサッカーができることを、君は心から楽しんで見える。
日本とは違ったサッカーへのアプローチ、日本とは違ったチームメイト、日本とは違ったサッカー場、いろんな違いをたくさん楽しんでほしい。
サッカーは世界中いろんな国で人気のスポーツだ。
ここメキシコでも例外ではなく、街を歩く人たちが自分の応援するチームのユニフォームを着て歩いているし、
テレビをつければ一日中、国内外の試合を観ることができる。
人とボールがあればサッカーが始まるし、どこのサポーターという話や最近の試合についてもそこらで熱く語られる。
サッカーは文化や人々の生活の一部にしっかり組み込まれているんだね。
そんなメキシコ、やっぱりコーチやチームメイトたちもサッカーをよく知っていると思う。
感覚として、文化として、上手なサッカーのプレーの仕方というものが染みついている印象をパパも持つよ。
そんな中で練習ができるということ…。
君がこちらに来る前に日本で言っていたように、
「メキシコに行けば上手くなれる」
というのはあながち間違いではないのかもしれない。
日本でも、たくさんのサッカーチームやサッカー教室がたくさんある中、
よりレベルが高いところでは、きっと学ぶこともより多くあるとも言える。
自分のレベルに合ったチーム選びは大切だし、よりレベルの高いチームでやりたいと思うこともとても自然な考えだ。
どうサッカーをするか?
よりレベルの高い環境で、自分のサッカーレベルを上げていくことは大切だ。
でも、環境が変われば、それだけで自分自身が変われると思うなら、それは決して正解じゃない。
環境の変化は自分の成長に関係があることは間違いない事実けど、
環境を変えると必ず自分が成長するという結果に結びつくというわけではないんだね。
ではよりレベルの高い環境でのサッカーを自分の成長につなげるには何が必要か?
それは、当たり前のことかもしれないけど君自身が「成長しようとする」ということだ。
そんな気持ちが無ければ、君のこのメキシコの経験は、自動的にうまくなれるという勘違いとともに、単なる思い出で終わってしまうかもしれない。
どう「成長しよう」と考えるか?
君の成長を助けてくれるのは、「言葉」だ。
言葉にしてみることで、君のサッカーの世界はより広く、鮮明になっていくはずだ。
その言葉たちを整理したうえで、サッカーに取り組んでみよう。
まず、今の君自身のレベルや日本とメキシコのサッカーの違い、
できることやできないこと、わかっていることやわかっていないこと、
いろんな今の状況に関することを言葉にして口に出してみよう。
次に、口に出してみたことについて、何をすれば自分の成長につながるか、
また、今の環境で、その成長は大いに期待できるのかを考えたうえで
どういうことに取り組んでみるかを考えてみよう。
メキシコでしかできないことだって確かにあるし、メキシコでも日本でも変わらず大切なことだってあるはずだ。
そこで出てきた考えを中心に、あとはその環境で思いっきりサッカーに取り組もう。
やってみてはまた言葉で発してみて、また修正して新たに取り組んで…。
こう繰り返すことで、君はどんどん成長していくと思う。
試合でどうサッカーしようと考えるか?
上の考え方は、実はサッカーの試合でも一緒。
レベルが高い相手であろうがなかろうが、サッカーの試合は常に新しい環境の連続。
同じ相手と100試合やったとしても、同じ場面なんて2度ない。
常に、現状を把握して、よりよい選択肢を考えて、それをプレーとして実行する…。
より速く、より正確に現状の把握、選択肢の分析と判断、プレーというサイクルを繰り返していけることがサッカーが上手いと言える一条件だ。
それらを支えるのは常に言葉。
言語化できなければ、それは感覚でなんとなくやっていると見られてしまう。
感覚的にわかっていたとしても、それを周りに伝えられなければ、チームスポーツとして致命的だ。
今日からできるサッカーへの取り組み方
「環境を変えれば上手くなる」という考え方は捨て、どこでも上手くなれる心構えを持とう
上手くなるうえでのカギは言語化。言葉を発する癖をつけよう
現状をいろんな視点から把握して言葉にしてみよう
その現状はどうしてそうなっていて、どうすればよりよくなるか考えてみよう
自分がやるべきことを整理し、やらないこととの取捨選択をしよう
これらに基づいて、一生懸命サッカーに取り組もう
取り組んだ後も、新たに現状把握をして以下永遠にループしよう
練習への取り組みでも試合中のプレーでも、上のサイクルをしてみよう
特に試合では、それらを瞬時に行えるようにしよう
メキシコでの経験が貴重なのは確か。
これを機に、メキシコでも、日本でも成長し続けられる考え方を手に入れよう!