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カウンセリングの奥義、答えることと応えること。

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、「カウンセリングの奥義、答えることと応えること」というテーマでお話ししたいと思います。

調べてみると、
答えるとは、質問や問題に対して解答を出す」という意味であり、
応えるとは、働きかけに対して、それに添うような反応を示す」と書いてあります。

カウンセラーは、 答えなければならない場面では答えなければならないし、
応えなければならない場面では応えなければなりません。

答えなければならない場面で応えたり、
応えなければならない場面で答えたりしているようでは失格ということです。

例えば、
愛するわが子を、幼くして亡くしたお母さんが、涙ながらにつぶやいたとしましょう。
「先生、私の息子はどうして死んでしまったのでしょう…」
こんな時、もしもカウンセラーが、「それは、交通事故です。お母さん、前回、そう私に教えてくれたじゃないですか」 とお母さんに答えたらどうでしょうか?
まるっきりお間抜けだということがよくわかるかと思います。

この場合、お母さんのつぶやきは、質問ではありません。
よって、こういう時、カウンセラーは答えてはいけないのです。

一方、こんな状況ではいかがでしょうか?
クライエントがカウンセラーに尋ねます。「先生、うつ病の薬というのは、飲み始めてどのくらいの時間で効き目が表れるものなのですか?」

こんな時、カウンセラーが、「そうですねえ、どのくらいで効き目が表れるものでしょうかねえ…」 と応えたらどうでしょうか?
「何だ。このカウンセラーは、薬のことは知らないんだ」と思われてお終いです。

先の例では、「そうですねえ、どうして死んでしまったのでしょうねえ」と応えるのが適当ですが、 後の例では、 「うつ病の薬は、個人差がありますが、精神安定剤と違って、飲んですぐ、その日に効くとかいうことはなく、飲み始めて、効果が現れるまで、数日から数週間はかかるものなんですよ」と答えるのが適当です。

先の例では、共感能力が必要とされますが、 後の例では、知識が必要とされます。

カウンセラーは、目の前にいるクライエントの訴えに対し、
答えたほうがいいのか? それとも応えたほうがいいのか?
常に考えながら、話を聴いていかなければなりません。

笑い話になってしまいますが、
「すみません、トイレ何処にありますか?」と訊かれたにも関わらず、「あなたは、トイレが何処にあるか、知りたいのですね」と応えているカウンセラーがおりました。これじゃぁ、マズイですよね。

さっきから、偉そうに言っている私ですが、やっぱり難しいです。
私も時々間違えますし、間違えていることに気付かないこともあるかと思います。
これからも精一杯、精進を重ね、「答えること」と「応えること」を間違えないカウンセラーでありたいと思います。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
            カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋

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