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認知がかなり歪んでいた時に書いた小説が、酷かった件。
本格的に小説書いて、八年が経ちました。
今は筆を休めており、書いてきた作品を読み返しているところです。
色々思う箇所があるので、考察してみたいと思います。
取り上げる自作小説が、ダークファンタジー小説で、主人公が霊感体質で、死神と共に死霊と対峙していく話です。
あまりにもネガティブな設定や話が目立っていて、当時の私は、明らかに認知の歪みをそのまま作品に投影しちゃってます。
当時の私は発達障害により大分認知が歪み切ってしまっていたので、ネガティブな感じが余程、好きで落ち着いたのでしょう。
まず、登場人物の設定からしてネガティブです。自身の認知の歪みをそのまま投影したかのようになっているのです。
主人公は、霊感体質の女の子で職場の人のパシリにより買い物に行った帰りにダンプに轢かれ命を命を落とします。
そして、死神に霊力を買われます。
女の子の性格はおどおどしていて、勉強も仕事も不器用。
複雑な家庭環境で、酒癖悪い母にギャンブル狂いの父親、彼女は養護施設に預けられます。
キャラ設定からしてら不幸に不幸を重ねたような感じになってありますね。
大体、8年前に書き始めた話です。
大分昔なので、大分認知が歪んでいる話となっています。
そこで、気になる文章を切り抜き、考察してみようと思います。
S子は、幼少時から霊感体質で周りから薄気味悪がられた。確かに目の前には人が居るのに傍から見れば何も無いところに話しかけているらしく、無気味がられる事が多かった。また、誰かと話をする度に、クスクス笑われる事や毛虫を見るような目で見られるようにもなっていた。小学生の頃は死者と生者の区別がつかない事が多く、S子は次第に人形のように黙り込むようになっていった。そして、霊の生前の記憶を読み体調を崩すこともあり保健室に籠もる事が多かった。
⬆この描写は、主人公の女の子の霊媒体質による苦労が垣間見えます。
何か、呪われてますと、言わんばかりの設定になっています。
当時の私は、不幸で強く呪われたかのような描写を書きたくて仕方なかったのでしょう。
E子はいつも自分に気にかけてくれた。金持ちで容姿端麗、成績優秀…全てが満たされていた彼女が何故、自ら命を投げてしまったのか、分からずじまいだった。
何でE子が自分の様な者の側にずっと居てくれたのかは、分からないー。しかし、お互い通じ合うことが多く、まるで双子の様な感じだった。
E子が亡くなってからは、胸に大きな穴が空いたかの様な感覚に陥った。何をしても無気力でナマケモノの様に動きが緩慢になっていった。そこには、自分が何でE子を救えなかったのか自問自答していた。心は、ずっと苦しいままだった。
S子は本やテレビで胸の穴を塞ごうとしたが、どうするにも心の穴は全く塞ぐことはなかった。
E子が居なくなって、自分は常に一人ぼっちで孤独であった。寂しいと言う感情も無くなっていき、錆がこびり付き感情が麻痺していった。
その他、S子は家庭環境や性格から誰も信じる事が出来ず、信じられるのは自分自身だけであった。
そこには自分も他人も、関わった者全員が不幸になるのではないのかという、歪な思いがあったからである。
こうして、只でさえ内向的な性格が益々内向的になり、益々無口で人を遠ざける様になっていったのだった。
⬆亡くなった最愛の幼なじみとの回想録と、
本当にひとりぼっちになり絶望の淵を彷徨っている描写です。彼女自身の苦しみと認知の歪みが、詳細と記されています。
当時の私自身のの認知の歪みを、彼女に重ねてしまっているようであります。
当時の私は、不幸で暗い設定や描写に強く惹かれているようであります。
今日もS子は工場に出勤すると、ガラス張りの検査室に行き、いつも通り検品作業をしていた。一つ一つの部品に汚れや傷がないか欠けてる物がないか、顕微鏡で隈なくチェックしていく。毎日、同じ事の繰り返し…。自分は一人作業が向いていると自覚しているが、ガラス張りの向こうから職場の人が皆共同で複雑な作業をしていた。
S子は、物覚えや理解力に時間がかかり手先も不器用だ。また、コミニケーションや新ししい作業が大の苦手だった。他の同僚や後から入社した者達は、S子よりずっと先を進んでおり、先輩や周りとも打ち解けていた。そういう自分より二歩三歩前進した者達の光景を仕事の時や休憩の時に見ると、胸に釘が突き刺さる様な感覚を覚えてしまうのだ。S子は冴えない鈍臭い空気のような存在になってしまっていた。
⬆職場での彼女の仕事シーン。何処と無く発達障害を彷彿とします。
私自身の発達障害による、職場での苦しみを表現しているように感じます。
自分より上手くいっているキラキラしたキャラクターを書くのが嫌だったのでしょう。
当時の私は、自身の分身を書いていた節があります。
休憩の時間になり、S子はいつものベンチで一息入れていた。ここは裏庭で、穴場スポットとなっており、ほとんどいつも誰も来ない。木の葉が風に揺られながらザワザワ葉音を立てていた。雀がピーピー唄っていた。自分も、このまま自然の一部として溶けてしまいたいくらいだ。
⬆職場での休憩シーン。何処と無く、虚無感とINFP感が漂います。
S子は、幼少の頃から誰も信じる事が出来なかった。S子の両親は不仲であった。父親はギャンブルに狂い、酒癖が悪く母親によく当り散らしていた。母親はビクビク怯え泣くだけであり、何にも出来なかった。そんなある日の事ー。S子が小学校低学年の頃、父親は蒸発してしまった。母親は夜は働きに出て、ずっと一人だった。
中学の同級生達はS子の家庭を馬鹿にしおかしな子と苛め、S子は孤立する様になったのだった。S子の親の家系も何らかの疾患があったのだろう。
⬆主人公の家庭環境の悪さを、克明に書かれてあります。
こちらも、何か強く呪われているかのような感じになっています。
当時の私自身が暗い設定が好きなのが、強く出てしまっています。
その上、S子自身も昔から何処かしらおかしな娘であった。周りに合わせるのが苦手でどう頑張ってもズレが生じてしまうのだ。頭の回転も悪く会話も苦手であった。団体行動が苦手でドジで鈍臭く、周りから嘲笑され孤立する事が多かった。そして、どう頑張っても自分はピエロの扱いを受け、どうすれば良いのかも分からずじまいであった。周りが普通に出来ている事が何故か自分は出来なかった。自分だけが異世界から迷いでた異邦人の様な扱いだった。
母親は夜職で働き、家計を支えた。母親は次第に夜、帰らなくなっていった。S子は常に孤独だった。家庭の中でも学校内でも自分の心は風船のようにふわふわ脆く浮いており、いつ破裂するか分からなかったのだった。
S子は悟ったのだった。自分は何もかも呪われているかのような感覚になった。強大な力を持った禍々しい悪魔が自分にまとわりついて離れないー。
友達だと思っていた人からも、好きになった人からも馬鹿にされ裏切られるー。しかも、その理由が分からないー。そんな惨めな人生が続くのなら、いっその事社会に復讐した方がマシだと思ったが、心はひ弱な子兎な為いつもビクビクしており、周りの様子に敏感で何も出来ずじまいなのであった。
⬆こちらも、発達障害を彷彿とさせる描写と複雑な家庭環境の描写です。
不器用さと不幸っぷりが目立ちます。
主人公は打ちひしがれ、復讐心を強く燃やしますが、臆病者で何もできない虚無感が詳細に表現されてあります。
グランドホテルの広い一室が貸し切りになり、バイキング形式で和洋中の豪華な料理がテーブル席に並べられいた。
みんな上品で煌びやかな正装で着飾る中、自分だけ黒のリクルートスーツで参加する事にした。職場の人が盛り上がっている中、S子、は一人静かにジュースを飲んていた。周りはカクテルやシャンパン飲んで談笑しているのだ。
S子は、不安げに他に見える人はいないが辺りを見渡したが、会場内の人達は気にも停めずに食事を頬張り談笑していたのだった。なんて、平和な光景なのだろうかー。彼ら今、同じ空間に化け物がいて、自分達に危害が及ぶ事など微塵も知る由はないのだろう。天国の中に見えない地獄の光景があるというのにー。そこで、ハッとした。今のこの状況が、今までの自分の生い立ちに似ていた。自分が苦境に立たされている時に周りは気にも留めずに、仲間と談笑していた。自分は、惨めな野良猫…いや虫ケラなのだ…
⬆光の闇の対比が、詳細に表現されてあります。ズブズブ、暗闇の世界に勝手にハマって行く描写が、私自身の認知の歪みとINFPが悪魔合体したのを感じさせられます。
余計に暗い方向へ暗い方向へと思想を膨らませてしまい、収拾がつかなくなっていますね。
そこには、S子を捨てて出て行った母親の姿があった。
S子の心は、驚きと、懐旧、憎悪の感情とがぐしゃぐしゃに目まぐるしく入り交じった。
S子は、恐る恐る母親に話しかけた。ここで、話し出来るうちに母親の気持ちを聞き出したかった。S子は、もう逃げないと決めたのだ。
「…お母さんだよね?」
母親は、S子の声に軽くのげぞるとじっと顔を上げてS子を睨みつけている。
すると、母親は鋭い眼差しで自分を睨みつけ奇声を発した。S子は、そのガラガラとした獣のような雄叫びに強い不安を覚えた。
「…お母さん、私を覚えてる?」
S子は、再度尋ねてみた。しかし、母親は鋭い形相をすると再び奇声を発しS子に小石を次々と投げつけてきた。
急激に様変わりした母親に、S子は絶句した。
覚悟はしていたのだが、ここまで薬物でもやっていたのだろうかー?精神疾患を患ってしまったのだろうかー?
確かに、憎くて仕方なかった親だが、いざ、自分の母親がすっかり訳も分からない状態になっており、S子は唖然としショックで涙が溢れ出てきた。
絶望を感じ、自分なんて生まれてきたのが間違いだったのではないかと、思わざるを得なかった。
⬆冥界にて、母親と対峙したシーンです。
相棒の死神から5分という期限をもらっています。
主人公は、実の母親に見捨てられ絶望の淵に打ちひしがれています。
「駄目な魂なんて、存在しない。皆、ちゃんと意味があるんだよ。あんたは、他人を想いやれる優しい心を持っている。お前は、今まで耐えて頑張ってきたんだ。だから、お前の幸せを願っている人が現れる筈だよ。」
Kは、強い口調で言った。
S子は、その言葉に涙が溢れ出そうになった。
「…そうだね。」
S子は、震えた声で答えた。
自分は、沢山苦しんできた。
負を沢山背負ってきた分、これから幸せが待っている筈だ。
まず、自分がこれからどうしたいのかが一番大事なのだ。
S子は、涙を拭い前を向いて歩いた。
⬆死神に励まされ、涙を拭い前を向くシーンです。
何処と無く、虚無感と希望が複雑に交錯しています。
主人公が何とか持ちこたえようとしたのは、希望を持ちたかった、変わりたいと言う強い現れのようです。
※このストーリーは67話書いたのですが、話の前半部にこれらのネガティブ描写が集まっています。
当時の私は、不幸な設定に強く惹かれてそれを表現するのが好きなようでありました。
『NF型は、暗い雰囲気が好きだ。』と言う人も少なくないようですね。
この小説は、かなりNF色の強い描写になってしまいました。
この話は、発達障害による認知の歪みとINFPの性質が悪魔合体し、私自身がズブズブと暗い方へ暗い方へと想像を膨らませているように思います。
今は、徐々に認知の歪みは解消されつつありますが、時折、闇にズブズブハマってしまうことがあります。
読み返してみると、鬱描写が多いと感じます。
今度は、明るい話を書きたいものであります。