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映画感想文『 聲の形を観て』

この映画は、聴覚障がいの女の子、ショウコと、その子を取り巻く同級生らの青春ストーリーです。

絵柄がとても綺麗で、キャラクターの表情や心理描写が繊細であり、個性が上手く表現されていました。

ショウコは、補聴器で生活しています。その補聴器は、彼女にとって体の一部で大事な物なのだと思われます。なので、それがクラスメイトラに投げられ玩具のように扱われたことに対して、私は見ていて拒絶反応を起こしてしまいました。  

また、無視すしたり笑い物にしたりする描写、野次馬の人たち、被害者面する加害者など、気分が悪くなるようなシーンもありました。

担任の先生がそれに対して、クラス全員の前で激昂する場面もあり、確かに障ショウコに対する嫌がらせは許されないものだとは思いますが、逆にショウコに対する風当たりが悪くなるんじゃないか…?とも感じました。

女の子が、ショウコに対して罵り暴力振るうようなシーンを見て、世間の障害者側の人間に対する強い風当たりのようなものを感じました。
ショウコの、『 ごめんなさい…ごめんなさい…』と、号泣するシーンを見て、益々辛くなってしまいました。

障害がある人が健常者の中にいると、当事者も気を使い、健常者側は好奇心から奇異な目で見てしまう、また、健常者側にも負担がかかってしまう、という負の構図が出来上がってしまいます。

私も障害持ちで、子供の頃、虐められたりバカにされてからかわれた辛い過去がありますし、当時の同級生の中にも障害持ちでそういう思いをして不登校になった子たちがいました。
なので、ショウコの苦しみが痛い程よく分かり、見ていて加害者側に強い怒りを感じてしまいました。

この作品は、人の心の醜さやいじめ被害者の葛藤やフラストレーションが深く表現されていると思います。

ショウコが加害者側と仲良くする描写で、彼女の周りに対する申し訳無さや許し、周りに対する思いやりが感じられました。
彼女は、加害者側の人達の完璧ではない部分や弱い部分に触れたから、許し寄り添ってあげてるのかな?と、思いました。

この作品は賛否両論はありますが、色々考えさせられる物語です。
被害者側の視点にばかりフォーカスしますが、この作品は加害者側の視点についてもフォーカスしていたのが、深く考え気付かされる良いきっかけになりました。あえてこのテーマに触れたということに対して、私はそこに作者の強いメッセージ性を感じました。

聴覚障がいの女の子と、彼女を取り巻く年頃の多感な少年少女達の複雑な感情について触れることが出来ました。

全体的に綺麗にまとまって、次のステージを想像してしまう良作です。






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