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『親といるとなぜか苦しい』
『親といるとなぜか苦しい』という本をご存じですか。
私が尊敬している精神科医岡田尊司さん監訳の本で、リンジー・C・ギブソンさんが書かれています。岡田尊司さんの本はとても勉強になり、これまでも何冊か読んできました。今回の本は岡田さん監訳にはなりますが、親子関係、特に「未熟な親」に比重をおいた内容でとても勉強になりました。
私は最近カウンセリングを受けたのですが、自分の事や親のことを振り返ったり客観的なアドバイスをもらう中で、自分の中で親は「何でもできるすごい人であり、一番尊敬できて、期待に応えるべき存在」と思って生きてきたこと、でも実際は親はとても未熟だった、ということに気づきました。それを受け入れることは勇気がいりましたが、社会に出て色んな人を見てきたからこそそれがはっきりと分かりましたし、この本を読んでやはりそうだったんだと思いました。
でも、親は親なりに懸命に子育てしてきたので、そこをとがめても仕方がありません。残りの人生 自分で自分を満たし、自分で幸せな人生を切り開いていくしかない。自分が喜ぶ選択をしていくしかないと思います。そして、親に愛情を注いでもらうことを諦める覚悟を持つことが大切なんだと思いました。どうしても子どもの頃から親に振り向いてもらおうと必死に親(や周囲)の期待に応えようとしてきましたが、結局それは叶わないことなのです。その事実をしっかり受け入れて、自分の幸せだけを見ていく強さが必要です。
また、親自身も精神的に未熟で、自分の心の傷を癒せないまま大変な思いの中で生きてきたのだと思います。心の傷を抱えたまま人を育てるって大変ですよね。子どもは色んなことを望んできますし。だからその傷に触られないように、色々と必死だったんだと思います。愛情不足を感じる子どもからすると少しさびしいですが、その点は理解してあげる必要があるのかなとも思います。
また、これまで私がずっと悩んできた点、”どうしても自分の感情や欲求を押し殺して親や周りに合わせてしまう事、ありのままの自分と親しくしたいと思ってくれる人は誰一人いないんだという虚無感” などが、これまでの親子関係に関連していることも分かりました。そして自分意外にも同じように悩んでいる人がいるんだということを知ることもできました。
本の中では、自分の親について客観的にみる(考える)ことができるとともに、巻末近くでは精神的に成熟した相手を見極めるチェックポイントや、自分自身が精神的に成熟するためにしていくべきことも書いてあり、耳が痛い部分もありますが、大切なことが書かれていてとても学びの多い本でした。
最終的には自分で自分を大切にし、自分の要望はきちんと伝える、けれどもその結果はコントロールしないことが健全なコミュニケーションの取りかたなのだと学びました。
この点は私がお世話になっているクリニックでも言われたのですが、一番難しいです。”親に分かってもらおうとするからだめなんだ。分かってもらわなくていい。ただ、自分の要望を述べるんだ” と。
これまでは、親に分かってほしくて言う→ 分かってもらえなくて傷つく→傷つきたくないから何も言わない。というパターンを繰り返してきましたが、これだと本音を言えない自分も苦しいですし、周りも私の要望がわからないので互いに良い関係を築けません。また、自分が言ったことをどう相手が受けるかは分からないしコントロールできるものではないということも最近学び、それを受け止めた上で自己主張していくことが大事なんだと知りました。なのでハードルが高いですが、少しずつこの練習をしてきたいなと思います。
あとはやはり『感情』が一番大切と本にも書いてあり、やっぱりそうなんだと思いました。感情は自然と湧くものであり、それが人間の本来のエネルギーとなるもの。すべての感情に良いも悪いもない。ありのままの感情を感じ切ることが、生命力を沸き立たせ元気に生きていくことに繋がると、クリニックでも言っていました。感情を味わっていくこと。それに尽きるのだと思います。
この本は親子関係のことですが、HSPの方や内向型の方にもおすすめだと思いました。
個人的な感覚ですが、年々本を出すハードルがさがっていて色んな人が色んな本を出しているように思います。中にはすごく内容が浅いものもあったり・・そのような中でこの本は内容が濃く、この値段で良いのかなと思いました💦とても勉強になる一冊でした。