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記憶の風景

台湾東海岸にある太平洋を望む美しい港町、花蓮。
町の背後には太魯閣渓谷の絶景が広がる。
かつてその海岸線に建っていた、白い灯台。
その朧げな姿が、集団的な記憶の風景として、
詩人のスタンザから立ち上がってくる

机の表面に刻まれた歴史ある傷たち、黒髪のシャンプーの香り、風に揺れるカーテン、闖入者の燕とカラスアゲハ。

教室の窓から海が見える。
未熟なわたしの身体を包み込むような空へつらなっていく絹
白い波が幾重に言葉を連ねて、白い灯台へと打ち寄せている
ザワメクキミノココロヨどうかシズマリタマエ

「記憶とは何だ。――教えてほしい。もし君が灯火を吹き消すように 自らを永遠の闇に埋葬するなら」(楊牧「時間へ」1964)


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