外来はなんでこんなに待つの?(再診編)①
病院やクリニックの一番の不満事項として挙げられるのが外来の待ち時間です。
かくいう私も医師になる前はほとんど病院に行ったことが無く、時折行く病院の外来で、予約時間を大幅に過ぎての検査や診察に不満を覚えました。
今でも、病院やクリニックの待ち時間は苦手です。
現在、病院やクリニックで内科外来をしていますが、やはり患者さんをお待たせしてしまうことが多いです。
待ち時間が発生してしまう原因を自分なりにまとめましたので、内科外来の裏側に何があって、何が起こっているのかを参考にしていただければと思います。
クリニックと病院で待ち時間の原因が微妙に違う可能性がありますが、基本的には病院での待ち時間の方が圧倒的に長いため、病院の待ち時間についてを解説し、クリニックの個別の原因があれば追記します。
また、再診(定期通院など)と初診とでも待ち時間が発生する原因が違うため、そこも分けて書きたいと思います。
以下は病院での患者さんの受診時の流れです。
流れに沿って、何が起こっているのかを解説していきます。
再診(定期通院など)の場合
予約時間前に受付
診察
会計
(院内処方)
初診や予約外受診の場合
受付時間中に受付
問診表の記載
診察
会計
(院内処方)
・再診時の(定期通院など)の待ち時間発生の原因
1.予約時間前に受付~2.診察
病院の場合は、当日に結果が出る検査が多く、診察日に検査をすることも多いです。
診察前に検査があるときは、検査結果が出たら患者さんを呼ぶので、予約時間前に来ていただくことになります。
検査結果が出るまでの目安(外注検査で当日に結果が出ない場合は別日に結果説明をします)
血液検査:約60分(再検査があれば+30分)
尿検査:約30分(再検査があれば+30分)
画像検査(レントゲン、超音波、CT、MRIなど):データとして電子カルテ見られるようになるには約15分、読影レポート(放射線科の医師が記載する詳細なレポート)や超音波検査レポートが出るまでは数十分~数日
病理検査:数日~数週間
待ち時間発生の原因
・検査が遅くなった。
・再検査になった。
→検査室が混んでいたり、患者さんが遅れたりして検査が遅れたりします。例えば、9時~9時半予約の診察日に血液検査があったとして、何らかの形で検査が遅れ、8時40分に検査をしたとすると、結果が出るのは9時40分以降となります。異常値が出て再検査に引っかかった場合は、さらに30分時間がかかります。
・患者さんの人数がキャパシティーに対して多い(需要過多)
→多くの病院は予約制を採用しており、予約枠を15分~30分に設定し、その中で患者さんを数人診察しています。
例えば、9時~9時半の枠に3人などです。科にもよりますが、大体30分で3人~5人の枠として設定していることが多い気がします。
同じ血圧の薬だけもらっている。や、胃薬だけもらっているという場合には患者さんと対面している時間内で業務が終わるため、あまり待ち時間は発生しませんが、内服薬が多かったり、内服薬を前回追加したり、変更した場合には経過を聞く必要があり、話す内容が増えるため、持ち時間をそれだけで超えてしまいます。
詳しくは後述しますが、一人の患者さんに対しての持ち時間が6分~10分であり、患者さんが診察室を出た後のカルテ記載の時間や検査のオーダーなどもこの時間に含まれています。(銀行の窓口でも、対面での対応後に職員さんがカウンター内で作業をしているように、医師も対面診察後に作業しています。)
・次に呼ぶ患者さんの結果の確認とカルテの予習をしている。
→前の患者さんの診察が終わった後に、次の患者さんが呼ばれるまでに時間がかかることがあります。
その理由の一つに、医師が次に呼ぶ患者さんの検査結果の確認や予習をしていることが挙げられます。(検査結果の印刷などもしています。)
定期通院で、ほとんど検査結果の動きがない患者さん(安定している患者さん)の場合は、確認事項は少なくて済みますが、検査に異常値が出たり、薬剤の副作用を疑ったり、画像検査で新たな所見(例えば、新規の腫瘍疑いや転移など)を認めたりした場合は、あらかじめ、患者さんに話す内容をまとめたり、新規病変について成書(医学書)やネットで確認したり、他科に相談する必要があれば、他科が休診かどうかや疾患に対応可能かをあらかじめ確認し、場合によっては相談しています。
患者さんの予習に関しては、事前にあらかじめ予習している医師もいますが、週1回の勤務の病院などでは当日に確認や予習をしているため、時間がかかるときがあります。
医師によっては、まったく予習せずに診察時にぶっつけ本番で検査を確認する方もいて、予想外の出来事が起きた場合はシンプルに診察時間が延びます。
・外来業務以外のことをやっている。
→病院や科の方針やマンパワーによりますが、外来担当医が外来業務以外を兼任していることがあります。
1.入院患者の対応をしている。
→自分が主治医の入院患者の検査結果の確認や、検査のオーダー、病棟からの報告を聞いたりしています。緊急に対処しなければいけないときは、病棟に行き、処置をしていることもあります。
2.救急車の応需や他院からの問い合わせ、薬局からの疑義紹介を受けている。
→救急隊からの連絡を受け、受け入れ可能かどうかの判断をしたり、他院からの電話での問い合わせ(緊急での診察希望や診療情報提供書の依頼)などを受けています。また、院外処方の疑義紹介(処方箋の内容についての確認や変更)を受けています。
3.他科からのコンサルト(相談)を受けている。
→他科に受診中の患者や、他科で入院中の患者の相談をPHSや対面で受けていることがあります。待てる症状であれば、後日に予約を取ってもらいますが、緊急内視鏡が必要であるとか、緊急カテーテル治療が必要かどうかなどの相談を受けています。場合によっては、検査室が空いているかの確認をしたり、必要な指示や検査のオーダーをしています。
4.初診患者や予約外患者の対応をしている。
→再診患者さんの診察の合間に初診患者さんの対応をしています。初診患者さん用の予約時間が無い場合があり、その場合は空気を読んで?診察をしています。
5.診察に必要な物品をそろえている。
→前の患者さんの書類を裏にいる看護師さんに渡したり、次に診察する患者さんの必要物品をそろえたりしています。ポータブル超音波を使用する場合などは、立ち上げまでに数分かかります。
1~5に関して、マンパワーがある病院は、初診担当医やコンサルト担当医などを別に置いている病院もありますが、私が今までいた病院は外来担当医がやっていました。物品に関しても、外来担当医1~2人に対して1人の看護師さんや助手さんが付いてくれる病院ではあらかじめ用意してもらえますが、そうではない病院の場合は医師が物品を探して用意します。
今回はここまでです。次回は診察から会計までの待ち時間発生の要因を書いていきたいと思います。