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藤井風のような青年のお話

 蜂飼耳の掌篇小説「繭の遊戯」の抜粋が、共通テスト翌日に問題文の1つとして新聞に掲載されていました。初めて読むその文章に心をつかまれ、その後図書館で借りて全文も読みました。といっても、もともと掌篇(短編よりもさらに短い作品)なので、共通テスト掲載部分でほとんどでした。

 私の感想は「藤井風のような青年のお話!!」です。私は何でも藤井風に結び付けがちですからね。

 小説では「おじさん」が描写されます。五つくらいの姪っ子からみてのおじさんだから、まだ三十にもなっていないくらいの青年。
 この青年が、自分で建てた離れの小屋で姪っ子と遊んでくれたり、ギターを弾いたり、オカリナを作って売ったりするのです。定職に就いていないから身内の大人たちからは怒られ気味。そして、しばらく何もしない時期があって、突然出て行って、お話は終わり。

 まるで、里庄町実家時代の藤井風のような青年です。(話の1つ1つは違いますが。)

 藤井風が高校卒業後に進学も就職もせず実家で音楽活動をしていたことは、あせりがちな私にとって衝撃的なエピソードでした。
 この衝撃は、息子たちの進路に対する気持ちにかなり影響しています。繭時代って、かけがえのないものだよね。あせらなくて良いよ。藤井風も繭時代があったよ、と。

 「繭の遊戯」のラストで出て行ったおじさんも、その後、羽化したちょうちょのようになったのかもしれないと、私は想像してみました。