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極限のミステリ、D・フィンチャーの映画「セブン」

こんばんは。
明日から三連休。あなたはどんな予定を楽しみにしていますか?
え?特にない? では、映画でもみましょう。

今宵は、恐ろしくもあり考えさせられる映画「セブン」のご案内です。
モーガン・フリーマンとブラッド・ピットの2大スター共演も見応え十分。

デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』は、単なるサイコスリラーを超えたミステリの傑作として再評価すべき作品です。この映画は、七つの大罪をモチーフにした連続殺人事件を描きながら、神や罪、そして人間の道徳に対する深い問いを投げかけます。しかしその一方で、緻密に構成されたプロットと巧妙な演出によって、観客を最後まで息もつかせぬ展開へと引き込んでいきます。

物語は、ベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と新人刑事ミルズ(ブラッド・ピット)が、ジョン・ドゥと名乗る猟奇的な犯人を追う姿を中心に進行します。七つの大罪(暴食、強欲、怠惰、嫉妬、憤怒、傲慢、色欲)をテーマにした殺人事件が次々と展開され、観客はその冷酷で計画的な犯行に圧倒されます。しかしこの映画の魅力は、単なる残虐性だけではありません。犯人ジョン・ドゥが残す手がかりやメッセージが、徐々に彼の真意に迫る過程は、クラシックなミステリのような興奮を伴い、観客を引き込んでいきます。

フィンチャーの冷徹な演出が、このミステリとしての完成度をさらに引き上げています。陰鬱な都市の映像美、そして重く冷たい雨が降り続ける環境は、物語全体に漂う絶望感と不穏さを象徴しています。特に、犯人が最後に明かす恐ろしい計画の全貌がわかった時、観客は背筋が凍るような緊張感に包まれることでしょう。フィンチャーはこの緊張感を維持しつつ、観客の想像力を刺激するように巧みにストーリーを展開させます。

キャストの演技も見逃せません。フリーマンが演じるサマセット刑事は、人生経験を重ね、すでに虚無的な見方をしているベテランであり、その冷静さと内面的な葛藤が非常にリアルに描かれています。一方、ピット演じるミルズ刑事は、若さゆえの正義感と激情を併せ持ち、物語の中で大きく成長していきます。この二人の対照的なキャラクターが、物語に深みを与え、観客が感情移入しやすくなるポイントです。そして、ケヴィン・スペイシーが演じるジョン・ドゥは、まさに冷酷な神の代弁者のような存在であり、彼の演技は観客に忘れがたい衝撃を与えます。

最も衝撃的なのは、映画の終盤に訪れる緊迫感溢れるラストシーン。フィンチャーは、観客に一瞬も気を抜かせないテンションでクライマックスを迎えさせ、同時に深い問いを投げかけます。ジョン・ドゥの「作品」は完成し、人間の罪と罰についての神との対話が浮かび上がる。しかし、映画はその問いへの答えを観客に委ね、善悪の境界が曖昧になっていく様を描くのです。

『セブン』は、ミステリとしての完成度が非常に高い作品です。緻密に計算されたプロット、キャラクターの深み、映像美、そして最後に残る余韻。これらが絡み合い、単なるスリラーを超えた深遠な作品となっています。観客に問いかけるのは、「罪とは何か?正義とは何か?」という普遍的なテーマ。神との対話を感じさせながらも、現代社会に対する鋭い批評性を持つこの作品は、時を経てもなお色褪せないミステリ映画の金字塔です。

まだ観ていない方も、再び見る方も、この重厚で緻密な映画にぜひ注目してください。

こちらから映画を視聴できます。
どうぞよろしくお願いします。


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