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愛を~求めた片想い~♪の話し。



あの~♪人(猫)のことなど~♪もう、忘れたいよ~♪だってぇ~♪どんなにぃ~♪想いを寄せても~
遠くかなわぬ~恋ならぁ~♪


閲覧ありがとうございます。浜田省吾さんの名曲の「片想い」から、入らせていただきましたが、ほんとに、母のヌシへの心情が、如実に表れているなぁと、聴くたびに、思います。てか、あんまり、ひんぱんには、聴いてないけど。


ヌシは、母が、ネットで、ひとめぼれして、ブリーダーさんから、迎え入れた猫です。
昔から、白いふわふわの青い瞳の猫に憧れていたようです。タイトル戦の前のボクサーのようなドヤ顔で、こちらを見ているパソコン画面の中の、子猫のヌシを見て、


「多分、運命だと思う。この子、今日、UPされたばかりだから、わたしが見つける運命だったと思う。だから、早くお迎えしたい!」


(うへぇ)

どちらかと言ったら、犬派のわたしと父親は、気難しそうなヤンキーみたいな表情(父親には、そう見えたそうです。)、ヌシは、扱い辛いのではないかと思いましたが、舞い上がって、早速ブリーダーさんに、連絡するべく、一心不乱にメールを打つ母には、なにも、言えませんでした。


「もしも、避けられない事情ができ、この子を手放すという事態になったときは、この子が何歳の時でも、良いですから、こちらにご連絡ください。他所には、やらないでください!それだけ、固くお約束をお願いいたします。」


そう、ブリーダーさんからは、強く念押しされたそうです。良心的で、しんらいできるブリーダーさんだなと、よく父親が言っていたのを覚えています。


ヌシが、やってきた初日、ブリーダーさんがヌシのキャリーに敷き詰めた、きらびやかなアラジンみたいな、クッションに、ちょこんと座るマハラジャみたいな、ヌシを見て、母は、マジで言葉が出ないようでした。長年、推していたアイドルの握手会に来たみたいな表情です。


最初は、慣れないだろうし、怖いだろうから、
そっとしとこう。
そう、決めて、無理に出すなどは、しませんでしたが、ヌシの方から、ずかずかと、出てきて、部屋の中をジロジロと眺めまわしました。


「ヌシちゃん!可愛い!」


そう、呼びかけて、母が思わず、ヌシを抱っこしますが、ヌシは、

「キィエーーー!」

という、骨折した箇所を触られた人みたいな奇声を発し、母から逃れ、走っていってしまいました。


しょんぼりする母の方を、「ケッ!」という顔で見返し、観葉植物のかげで、オシッコしたのを覚えています。

「ヌシちゃん!今日の缶詰は、鳥がいい?チキンがいい?」
鳥もチキンも同じなんですが、母は、ヌシに気に入られようと、ブリーダーさんから聞いた好みのフードをアマゾンから、頻繁に購入していました。
まるで、好きな男子の好物のお菓子を、いつも、持っていて、その子が、菓子をもらいに、寄ってきてくれる時、話すのだけで、舞い上がる女子のようです。
しかし、ヌシは、気のない女子にするがごとく、
美味しいものだけ、もらうと、「あんがと!じゃ!」と、いう感じで、すり寄りもせず、行ってしまいます。撫でようものなら、「うーっ」と、言い出し、抱き上げようものなら、奇声を発します。


わたしは、ラグドールの取り扱い説明書をネットで見ましたところ、「おっとりと穏やかな性格。抱かれてもおとなしいぬいぐるみみたいな猫」と、ありました。

我が家の猫は、、ラグドールだろうか。漂白されたアライグマにも、見えないことは、ない。。
そう思ったりもしました。



白いアライグマ。


ラグドールの毛は、タンポポの綿毛みたいに、細く柔らかく、軽く、ふわふわと飛んできます。
だから、ブラッシングは必須であり、嫌がるヌシをひっ捕まえて、朝夕に、頑張ってましたが、
ある時、大学生だった姉に、猫アレルギーが出てしまいました。

「お母さん、わたし、猫アレルギーだって。」

「え!」

「別々の部屋にして、接触はしないようにって。猫とは。」

「別々の部屋??」

「だから!部屋から出さないでよ!!」

「え!!あんたを?!」


母の頭には、ヌシをどうこうするという、考えの回路は、無かったのだろうと思います。恋のちからは偉大です。


ちょっとショックを受けたらしい姉は開き直り、

「わたし、来年は就職だし、独り暮らしする」

と、いい放ちました。

母は、「そうねぇ、、ごめんね。」と、

告白を断るみたいに言いました。


階段の踊り場から、三代目姐のような顔をして、
二人を見下ろしていたヌシを覚えています。




月日は流れ、この前の日曜日の朝、母が中々、起きてこないので、心配になり、寝室にのぞきにいき、


「どうしたの?具合わるい?」

と、小声で聞くと、


「あ!ごめん。大丈夫。足元にヌシちゃんが寝てくれてるから、動きたくなくて。」


「………。」(寝てくれている。)


夜中に気まぐれに降りたヌシが、上がるのが面倒くさくなり、入りこんだようでした。


わたしなら、構わず、ガバッと起きるのですが、
純愛は、せつないなぁと、ドアを閉めながら、思いました。片想いしてる男子とバスの座席が隣りになった女子の気持ちなのでしょう。


わたしにとってのヌシは、同居猫、相棒という感じですが、母にとっては、永遠の王子さまなんだろなと、しみじみと感じました。


母がヌシとしたい遊びは

スキスキごっこ

ちゅうちゅうごっこ

抱っこ抱っこごっこ

という、

ヌシに、とっては、地獄の三択になります。


わたしとは、

シカトシカトごっこ

スルースルーごっこ

見ないふり、見ないふりごっこ

の、ラッキー三択になります。

ヌシからしたら、受け取りたい愛のかたちは、
母のかたちとは違うので、残念だなとは、思いますが、好きな人が廊下を歩いているのを見るだけで
満足する女子の位置以上は、母は、望まないみたいで、、それが、バランスなのかなと思います。


とりあえず、ハマショーの片想いが、流れてくるような、母の日常のためにも、ヌシには、猫又になるまで
生きて欲しいなぁと思います。



「好き」から「愛」に、変わるその瞬間は、
尊いものだと思いました。
  

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