汚れない魂「風と木の詩」
ご訪問ありがとうございます_(._.)_これは、わたしが読んだ漫画やコレあれを自分満足に自分記録のために書いているnoteです。ご訪問、まことにありがとうございます_(._.)_
「風と木の詩」は、母親の書庫の中の奥の方のなぜだか知りませんが、箱の中に入ってました。見つけたわたしは、最初、ジルベールをポーの一族のエドガーかと、勘違いしまして、パラパラと中身を見たら、全然違うものだったので、びっくりしました。わたしが風と木の詩を手に抱えて、出てきたのを見た母親は、バツが悪い顔をしてました。まるで、昔の勝負服を見つけられたような感じでした。
武宮恵子先生が、この作品を発表されたのが、40年以上も前。。まだ20代だったそうです。当時の出版会社が、よく、OKしたなぁと思いました。まだまだ、表現の自由や、思想の自由を社会に向かって発表するのには、奥手な時代だったんじゃなかろうかと思います。今でこそ、恋愛は異性相手に限らず、自由なんだからというのが普通ですが、ベッドシーンからスタート!は、少女漫画の黒船みたいな扱いだったんじゃないかなと思います。
人は、「見てはいけない」と思うと見たくなりますよね。例えば、電車の向かい側の座席に座って居眠りしているおじさんが、コックリコックリと頭を下げる度に、ズラがずれて、頭から落ちそうだ。見てはいけないけど、決定的瞬間は見たい。そういう感じです。(違うか)
「風と木の詩」は、ボーイズラブが主流でアダルトシーンが沢山ありますが、エロ売り漫画ではありません。児童虐待、性的搾取、近親そうかんなど、重い内容になっています。
物語は、全寮制の男子校にセルジュという正義感溢れる心優しい少年が、ジルベールという美少年と同室になったのをきっかけに始まります。
ジルベールは、自分の体を武器にして、力の強い少年を護衛役にしていました。次々と、目の前にさらけ出されるジルベールの奔放な破天荒ぶりに、セルジュは、戸惑い、振り回され、怒りも、覚えたりもしますが、いつの間にか、ジルベールに愛情を感じるようになります。
ジルベールの保護者はオーギュと言って、ジルベールの叔父にあたるとしていますが、実は、オーギュが義姉と不義をして、生まれた子どもがジルベール。オーギュはジルベールの実の父親です。父親なんだけど、ジルベールを邪魔に扱い、小さな頃から性的搾取をして、ジルベールを歪めてしました。
愛を与えられたり、真心を与えられねばならない小さな時代に、搾取され続けていたら、柔らかな心は、殻をまとい、これ以上、傷つけられないように、トゲを纏うようになったのでしょう。
実は、オーギュ自身も、ジルベールみたいな幼少期を過ごしており、「愛し方」を知らなかったのかもしれません。
しれませんが、漫画の中のジルベールは、いつも叫ぶか怒るか、冷めた笑いをするか。ですから、痛ましいです。セルジュに会って、少しずつ、「愛」をもらうジルベールですが、セルジュに冷たい態度をとったりして、「愛」を試そうとしたります。
どんどん、外の世界に馴染んで、受け入れられていくセルジュを受け入れられないジルベールです。
ジルベールは、セルジュと、駆け落ちしますが、ジルベールの心の中には、やはり、オーギュがいつまでもセンターにいました。オーギュが結婚すると聞いたジルベールは取り乱してしまいます。
ジルベールが、空を見上げて、放つ言葉
「鳥になりたい」
わたしも、悲しいことがあった時、地上に立ってせねばならないこと、明日も やらねばならないことなどを心の負担に思い、空を飛びたいなと思ったことがあります。わたしの、場合は、ただの現実逃避です。ジルベールの心からの願望とは違います。
わたしは、「風と木の詩」の傍観者です。わかったような気持ちになっていて、実のところ、良く理解していない部分が沢山あると思います。
心の中にジルベールが住んでいる方々は、沢山おられると思います。表に出す方、内面からは出さずに、自分で折り合おうと、努力されている方、様々だと思います。
昔も、今も、その先も、存在するだろう、世界中のジルベールが癒される日が来るべきだと思います。
「風と木の詩」、いつまでも残る名作だと思います。