アイタタなおっさんの群れ。「ヴィンランド・サガ」
閲覧ありがとうございます。
今日は、今、なお連載中らしい漫画「ヴィンランドサガ」をアニメ一気放送で、観たあとのコレアレを書いておこうと思います。
ヴィンランド・サガは、一期は、NHKで、放送したらしいです。NHKで、やるということは、放送受信料をもらった上でやることなんで、全国民に、見て欲しい、是非とも見て味噌!的な内容に違いありません。
なるほど、二期まで観た感想は、「これは!プーチン大統領に見てほしい!」、そして、あらゆる戦争を今、まさに、ジャンジャカやらかしている国の
トップに観てほしいなと思いました。
ヴィンランド・サガは、千年以上も前に、アイスランド、イングランド、スコットランドなどを舞台にした「ヴァイキング」の話しです。
主人公は、「トルフィン」。小さな頃に、村をヴァイキングに襲われ、最愛の父親を殺されます。
復讐を誓った幼いトルフィンは、海賊船に、ひっそりと、忍びこみ、敵の首領、アシェラッドをいつか、殺すべく、海賊団の一員になります。
そして、成長するにつれ、なんの疑問を持つこともなく、襲った村を焼き払い、命令されれば、敵の首をとってきます。
海賊漫画と言えば、「ワンピース」が有名ですが、
あの漫画は、異世界に属し、エンターテイメントの分野にあると思いますが、ヴィンランド・サガは、史実に基ずいて、いますので、悪役令嬢も勇者も、出てきません。
あと、昭和には、
こんなヴァイキングアニメがありました!
↓
「小さなバイキング、ビッケ」と、言います。
海賊という設定なのでしょうが、メンツが全員、
いい人そうです。船も、遊覧船みたいで可愛いく、
海上で、戦っても、こちらが、勝てそうな予感すらします。
お茶の間からの好感度も、凄かったことでしょう
それでは、同じ海賊設定の「ヴィンランド・サガ」の
船員を見てみましょう
↓
まるで、検挙率が悪くて、これでは署に帰れないから、死角で違反車を待ち構える白バイ隊員のような
厳しい顔をしています。
ヴィンランド・サガは、心温まるアニメではありません。ある程度、覚悟して観ないと、残虐シーンがあるし、略奪シーンもあるし、「これが、過去にあったことなのか」と、同じ、人類として、「怒り」よりも、「情けなさ」が、じわじわとやってきます。
昔、「人権」は、プラゴミ以下でした。
不健康に太った、肌が荒れたおっさんのヴァイキング集団が、普通に畑などをやって、穏やかに暮らしている村を襲い、家を焼き払い、成人男性は、あらかた殺し、幼い子供や、女性は、奴隷にするために、
拐ってしまう。金品は、「勝者の権利」とか、自分勝手な言い分で、自分のものにしてしまう。
お前ら、海に帰ったら、ゴジラに、沈めてもらえ!
と、憎々しく思います。
トルフィンたちは、あるとき、最前線の将に任命されたデンマークの第二継承権を持つ、クヌートの隊と出会います。
この、クヌート殿下は、側近から、とても愛情深く育てられ、側近に依存しています。
指揮を取って、戦うなど、意識下には無く、常に神に祈ることで、心の安寧を保ち、荒くれおっさんたちから、詰め寄られても、側近の後ろに隠れてしまいます。
したたかな、海賊団は、この側近を殺し、王子を
孤立させ、トップに立たせ、果ては、デンマーク王から政権をもぎとろうとか、考えます。アイタタなおっさん達には、
他に考えることが無いから、自然な流れでしょう。
彼らの理想の完成には、「誰かの破滅、誰かの死」が、必要だと思っています。しかし、本当に、
「誰かの死」が、本当に、自分達に必要かと、長い目で、考えてみれば、「それが、一番、手っ取り早いから」という、稚拙で野蛮な理由でしかないと思います。
この争いしかない、悲惨な時代は、人の顔を変えるんだなと、アニメを観て、痛烈に思いました。
トルフィンは、幼いころから、殺戮の場にいましたから、表情も、険しく、暗く、尖っています
しかし、見ず知らずの人を殺しまくった自分の過去が、自分を殺しにくる時は、絶対に来るもので、
トルフィンは、海賊を抜けたあと、過去からの
呪いにより、無表情、無感動、と、脱け殻のような
奴隷になります。
しかし、環境に、または、関わる人間によって、
彼は、良い方向に変わっていき、アニメ第二期の
終わりくらいには、笑えるようになります
逆に、料理好きな、神に祈ることを常にしていた
穏やか系のクヌート殿下は、神に祈っていても、
人は殺されるし、好きなものは奪われるし、野蛮な戦いは続き、それを止めてくれるように祈っても、
神は、何もしてはくれず、見ているだけ。
神など、あてにはならない。ならば、自分の力で、
この世に、安寧な地を造りだすしか道はない。
わたしのやり方で。
今日から、やったるで!
と、トルフィンとは真逆に、厳しい顔になってしまいます。
人は、「おぎゃー」と、産まれた瞬間からの悪人は
いないと思います。産湯に浸かりながら、
(いつか、銀行強盗をやったるゼ)
とか、決心する赤ちゃんはいないでしょう。
環境によって、情緒が変化し、人格は形成され、
普段の表情も、あらかた、決まるのでは、ないかなと思います。
無力な子供が、環境を選ぶ力は、無く、大人の用意した生活環境で、育つしかないのですが、
ヴィンランド・サガを観ていると、決して、千年前の
大人だけが、アイタタなんじゃないなぁと、思いました。
信用でも、人でも、造形物でも、良い方向に育てるには、長い長い時間と根気と愛情と誠意と努力が
要ると思います。
このアニメでいったら、村人たちの長年の努力の
結晶、畑や家畜、家などなんですが、
海賊が壊すのは、一瞬でした。
作った苦労を知らないやつは、壊すのが平気なんですよね。非常に恥ずかしい行為です。
畑をするのも「人」、争うのも「人」。
地球上の人が紡ぐ歴史ですが、いつの時代にも、絶対に尊重するべきなのは、「人権」だと思います。
自分が、自分以外の誰かに、良いように、操作されないように、自分の環境を守る人権だけは、失くさないようにしなければと、このアニメを観て、思いました。
「ヴィンランド・サガ」
あまり、認知度が高くない作品みたいですが、
わたしの中では、殿堂入りです。
これからも、トルフィンの行く末を追っていきたいなと思います。