紡希(つむぎ)が紡ぐ出会いの宝物 1章 できたての香り
何度書き始めようとしても、1文書くだけで手が止まってしまう。もうこれで何回試して時間を無駄にしただろう。もう諦めるべきなのか・・・。言葉を並べて1冊の本という世界を作り出す。父は図書館司書で、母は中学校の国語の先生。そんな二人の間に私は生まれた。【紡希(つむぎ)】という文系らしい名前をつけてもらい、今こんなふうに紙に向かってため息をついてばかり。二人が見たらなんて言うだろう。文章と向き合うことが多い二人と一緒に生きてきたのに、何も学んでいかなかったように見えてしまいそうだ。だ