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🏴600年後の世界⚫🐈⬛(短編小説)
空は黒く覆われており、そこら辺にガラクタや破片が散らばっている。そして黒い雨が降り注ぐ。
ここは僕たちの未来、600年後の世界だ。
インターネットの技術が5G、6G、7Gと、どんどん人類の文明は進化をしたが、ネット環境が25Gのところで人類はどうやら方向を間違ってしまったようだ。
この世界はスマートフォンなんか存在しない。
コンタクトレンズがネットに繋がっていて、手を伸ばせばその空間上のボタンをタップすることができるレベルだった。
だが、
周りを見渡すと、そこら辺に太陽光パネルが散乱している。大きなパネルもあれば、手のひらサイズの小さいパネルまで。
めちゃくちゃに積まれたり、まるでゴミのように。
そんな破片が足に刺さったり、食べ物に混入したり、この世界は、もうすでに崩壊していた……。
少し前までは医療は遠隔操作により世界中で手術ができたり、また再生医療もかなり進化をしてほとんどの臓器や身体の一部分を100%再生できるまでになっていた。
医療の急成長により、人類のQOLは向上し、平均寿命も120歳になった。
臓器も再生させる。もちろん皮膚も再生できる。
そして車は、ガソリン車はなく、水素自動車か空気エネルギーの自動車で、地下のトンネルを走ると同時に、空もスムーズに飛ぶことができていた。
それも全て人工衛星からの電波の供給によって管理されていた。
まるで近未来のような世界を我々人類は経験していたようだ。
文明が進むにつれて石油だけではエネルギーが足りなくなってしまう。そこで太陽光パネルをどんどん増設し、山を削り大きなパネルを設置したり、なんと『雲の上にパネルを設置する技術』が出来上がっていた
これで太陽光のエネルギーをより多く利用することが可能になった。
パネルを作るために二酸化炭素濃度が増えて地球が温暖化し不要なガスがたくさん発生した。
その結果、空は黒く覆われてしまい、雲の上に設置された太陽光パネルが地上に落下して町は崩壊した……。
そんな町で暮らす少年は毎日、下を向きながら暮らしている。
お腹が空いたので近くの食べ物屋さんに行ってみた。
そこにはビスケットのようなものがたくさん置いてあり、自由にそれを受け取ることができる。
カウンターには小さいロボットのようなものが置いてあり、そのロボットがAIシステムによって購入者を記録しているらしい。
僕はそのビスケットを10枚袋に詰め込んだ。支払いはどうするかというと、もうこの時代にはお金という概念はなく自由にこのビスケットというものを持って帰ることができる。
このビスケットは空が黒くなる前から開発されたとってもたくさんの栄養素が含まれたビスケットだ。
本当はもっと美味しいものラーメンとか餃子とか、そういうものを期待したいところだが 、この時代の食べ物と言えば主にこのビスケット。
本当に栄養満点でありこれをずっと食べておけば人類の寿命の限界140歳まで生きることができるみたいだ。
そんなこの太陽光パネルの世界、毎日あちこちでパネルの撤去工事が行われている。
だがこれも主にロボットがやっており、そのエネルギー不足からロボットが稼働していないところも多い。
また雲の上からパネルが、
「ヒューン、ガッシャーン」と落ちてきた。その破片が、また飛び散りあたり一面にガラスが散乱した。
そんな毎日だ。
温暖化による、ヒョウが多いなんて、とっても小さい話。暗い空からパネルが降ってくる。その被害なんて、もはや想像したくもない。
なぜ僕たちの星は太陽光エネルギーの事業に失敗してしまったのか。
他の星はもうダイソン球も成功しているようだ。
ダイソン球というのは太陽の周りを帯状の太陽光パネルみたいなもので太陽そのものの周りを囲うようなもので、太陽からの熱エネルギーを70〜80%利用できるシステムのことだ。
ダイソン球は、その星の資源エネルギーだけでは、もう足りなくなったときに、太陽のような恒星から、エネルギーを得ることが目的であり、
僕たち人類の次なるステップとして必要なものだ。
…
僕はこの町で太陽光パネルのない世界を待ち望んでいる。
最初は家の屋根に設置されたり 学校の校舎の窓ガラスに設置されたり、本当に小規模な事業だったが、いつの間にか山がなくなり、森がなくなり、どんどん気候が変わっていった。
もちろんそれに伴い食物連鎖も変化していき 動物も絶滅していった。
水道の蛇口をひねっても黒い水しか出てこない。
そんな生活が当たり前になってしまった。
ただなんとかこのビスケットの製造だけは止まることがなく、人工化合物のビスケットをみんな食べて生きている……。
僕はこの町から抜け出そうと宇宙の人工衛星とインターネットで連絡をとっている。
どうにかして宇宙からの船、定期的に宇宙を回っている宇宙船があり、そこに信号を送り続けて、迎えに来てもらおうと思っている。
だがこちらの星からのSOSはなかなか届かず 宇宙からしてみればただの太陽光パネルがたくさんあるガラクタのような星にしか見えない。
同じ町に住んでいる周りの人たちは、もうこの太陽光パネルの世界から抜け出すことができないと諦めている人が多いみたいだ。
どうせこのビスケットがあれば、おおよそ140歳まで生きることができるのだから。
でもそうやって未来を諦めてしまうのは良くないと思う。
仮に140歳まで生きれるとして諦めた状態で生きるのと自分がやりたいことをしっかりとやりきることを目標にして生きるのとでは大きな違いがある。そんな風に僕は思う。
ある日の午後外は相変わらず黒い雨が降っている。
…
ガラクタの太陽光パネルをリサイクルしようと頑張って回収をしている。
大きなロボットのクレーンアームがパネルをガタンガタンと運んでいる。
この太陽光パネルの問題の一つがリサイクルだ。
これをしっかりと解決しないと太陽光パネルの道はないだろう。
そして大量の太陽光パネルを集めて、それを分解して粉々に砕いている。
そうすることによって地上に散乱しているパネルをキレイにしようということだ。
考え方は良かったのだが、大量の太陽光パネルを巨大なスクリューで粉々にしたため、ダストがたくさん放出されてしまった。
これが「ダイヤモンドダスト」というものだ。
ダイヤモンドダストは町を覆い、そして世界を覆ってしまった。
それにより多くの動物たちは呼吸ができなくなってしまいたくさん絶滅してしまった。
僕たちはバリア機能が付いた透明マスクを着用し、何とか呼吸を維持している……。
どんどん環境が悪化して生命活動が困難になった。
生物たちもどんどん朽ちていく。
こんな状況ではダメだと思って今まで諦めていた人がたちが知恵を振り絞って動き出した。
空中に飛散したダイヤモンドダストを特殊なバキュームで回収しそれを界面活性剤でシャボン玉のようにして1箇所に集めることができた。
しかし、
その量が大きな山3つ分ぐらいの量になっており、またそこからダストが飛び散ってまた同じようなことになっている。
これを解決するために「核融合」という技術を使うことにした。
核融合の波動によってダイヤモンドダストの粉塵を浄化し、そしてさらにエネルギーを加えることによって、キレイな水と空気に変えることができた。
そうやって太陽光パネルのリサイクルとして 粉塵にしてからキレイな水と空気に変えることによって、この真っ暗な町は少しずつ明るくなっていく……。
そう信じたい。