のんびり村のkiki【第3話】
kikiは夕焼けで真っ赤に染まった、ゆるーい坂道をトコトコ歩いていた。
すると、前からコロコロ、コロコロ、と玉ねぎが転がってきた。
「だれかー!その玉ねぎとってー」
と大声で叫んでいる。
『アルパカのモカちゃん』だ。
kikiは玉ねぎふたつをキャッチして、モカちゃんに、
「はい、どうぢょ」と笑顔で渡した。
モカちゃんはとっても嬉しそうに、ありがとうkiki。本当に感謝の気持ちでいっぱいだよ。
モカちゃんは夕飯のクリームシチューの材料を買いに行ってたらしい。
「タッタタ、タッタタ」
後ろから誰かが走ってきた……。
そしてモカちゃんの体に、「ドーン」とぶつかった。
「大丈夫?モカちゃん」とkikiが聞くと、
「うん、なんとかね。あっ!玉ねぎがなーい」
すると、「タッタタ」と走っている、
悪ダチョウ(わるだちょう)がその玉ねぎを持って走って行った。
悪ダチョウは、のんびり村の南の方に住んでいる、悪いことばっかりするその名の通りとっても悪いダチョウだ。
アルパカのモカちゃんは、あまりのショックで泣いている。
だって今日の夕飯のために買った玉ねぎなのに。どーしよ。
kikiは悪ダチョウを追いかけようとしたが、そこはさすがダチョウ、走るのが速い。
『配達イノシシ』よりも速い!
どんどん姿が見えなくなる。
すると、お空の上に何か黒いものが、飛んでいる……。
しかも、すごいスピード。
「カー、カー、ルー、ルー」
あの鳴き声はもしかして、
『オオカラスのパトカーる』
「ルー、ルー」と鳴きながら、悪ダチョウの方に突っ込んで行く。
そしてパトカーるは玉ねぎ2つ持って、モカちゃんのところに戻ってきた。
「ヘイ、モカちゃん。あなたの玉ねぎ」
「本当にありがとう。パトカーる」
のんびり村の動物たちには『族性』というものがある。
ウサギにはウサギ族。
アルパカにはアルパカ族。
族性が同じじゃないと、一緒に暮らすことができない。
そもそもお付き合いすら、できないルールだ。
そんなことを考えながら、kikiはまた歩いて行った。