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IBティーチャーになるためのあゆみ⑦ 3週目編

今回は、モジュール3、すなわち3週目のワークショップについて書いてみます。
モジュール3のお題は、「評価にフォーカス」です。

モジュール3の内容

・ペーパー1を評価してみよう
・ペーパー2を評価してみよう
・ペーパー3を評価してみよう
・IAを評価してみよう


IBの評価は外部評価と内部評価にわかれます。
外部評価には、試験「ペーパー1〜3」があり、IB本部が作問し出題します。
内部評価(このことをIA:Internal Assessmentといいます)には、調査とそのレポートがあります。
ここでは、外部評価のペーパー1の評価の仕方を、実例を通じて学びます。

ここではIAとして
今まで実際に出題された問題と、採点例が示されます。
ちなみに、ここでも
History Guideとよばれるハンドブックを読み込むことが重要になります。

IBのペーパーは1〜3のどれも論述式です。特に、ペーパー1は歴史的知識を通じて、初見の資料を読み取ったり評価したりします。たぶん内容をここで出すことはできないのですが、ネット上にはいくつかあるので探してみてください。

なお、実際の答案例に対して、各自が何点をつけるのか、を今回は受講者が公開していくことになります。

この実際の答案を読むのがきつい!!!!
字が読みづらい!
DeepLが使えない!

ネイティヴの字を読むことがあんまり経験がない僕のような人にはなかなかつらいです。
これは他の受講生もグチを投稿していましたが、ファシリテーターの先生は、その気持ちはわかるとしながらも、「読めないほどひどいものじゃないし、もっとひどいものにもこれからみなさんは出会うでしょう」と一蹴しました。判読不能という概念はIBにはないようです。

先生がそうおっしゃるのには根拠があります。というのも、これは、生徒たちがかなり限られた時間で構想をつくり、走り書きしたアンサーシートなのですね。この一連のペーパーは、とにかく書く分量が多く大変です。そういった追い込まれた状況で膨大な語数を書く状況にある高校生たちには、たしかに頭がさがる気になりました。


ペーパー1を評価してみよう


僕は、このペーパー1〜3について、結構真剣に読み、採点をしました。
というのも、前回の EEを採点しよう というエッセーの採点で、僕はかなり外してしまっていたからです。実際にEEの採点者がつけた点数よりも、僕がつけた点数のほうがかなり低くなってしまったのでした。
この経験がひっかかっていたので、僕なりに採点基準を自分の中で作り直しました。
IBの採点についていえることは、

・加点法である
・採点者にはかなりクリアな基準がある(誰がみてもそう大きくぶれることがない)

ということでしょうか。これは僕の考えですが、ここでは特に、加点法を意識して採点していきました。

そうすると、
もう高得点の連発…

何人かの受講生が、どうしてそんなに高得点をつけるんだ?と、尋ねてくるほどになってしまいました。
ただ、自分なりに上のような経緯と理由を説明したりしていると、ファシリテーターは、受講生の間に議論が起こっていることを喜んでいたようでした。

ペーパー2を評価してみよう

ここでも、History Guideを熟読することが要求されます。
ペーパー2は、2本の小論文です。僕らが今回採点したお題だけ紹介すると、

ひとつめ
The conditions in which authoritarian states emerged were mainly determined by economic factors.” Discuss with reference to two authoritarian states.
「権威主義国家の出現は、主に経済的要因が決定的なものだった。このことに対し、2国分の事例をあげて、論じなさい」

ふたつめ
To what extent did economic interests rather than ideology lead to the breakdown of the grand alliance between 1943 and 1949?
「イデオロギーよりも、経済的な利害が、1943年から1949年のGrand Alleyを崩壊させるのにどの程度大きな影響を果たしたといえるか?」

少し訳がへたくそですが、だいたいこんな感じでした。
これもなかなか読みにくくて、大変でしたが、僕の回答はこんな感じでした。

19 The conditions in which authoritarian states emerged were mainly determined by economic factors.” Discuss with reference to two authoritarian states.

Clearly meeting the requirements to the question.
The events mentioned (Germany and Cuba) are able to be put in the proper context as examples. Also, the author's knowledge is rich and accurate.
While giving the economic factors to the question, the author attempts to further the discussion by using the opinions of historians to focus on the political factors in the formation of authoritarian states.
Overall, the author’s attempts are well structured.

15/15


23 To what extent did economic interests rather than ideology lead to the breakdown of the
grand alliance between 1943 and 1949?

The author takes the exact demands of the question and tries to develop the argument, and is knowledgeable about history and, to a certain extent, political science.
While acknowledging the importance of economic issues, the author attempts to deepen the discussion by raising the issue that ideology played a more important role. The author demonstrates having detailed knowledge of economic issues.
The examples for support (atomic bombs, post-historical revisionist opinion) are not bad, but there are a few leaps in argument.
It should be noted that the author demonstrates knowledge of the research history of the Cold War by using the post-revisionist argument against the traditional point of view, which emphasizes economic factors.
The paper is written on the premise that ideology is itself a concept oriented toward conflict, expansion, and exclusivity, and in that sense it is consistent. However, it is debatable whether the author was able to sufficiently reinforce that premise.
Overall, It is a highly argued essay, although the references to the economic aspects are a bit too long and the argument leaps forward in its references to the ideological aspects.

14/15

おいおいMRT、高すぎやしないかい?との質問に、このように答えました。

Hi ,Ms X.
I know exactly what you are talking about.
In fact, I was a bit reflecting on my previous essay because of the discrepancy in my evaluation.
I read the guide, thinking that perhaps I needed to be aggressive in scoring points in areas that I am not normally aware of.
Last time, I was probably too low.
This time, apparently, too high.
Thanks!
Well, but I'm thinking it's better to take the plunge and try to fail.
I look forward to seeing the answers.

「君がいいたいことはわかるよ、前回のエッセイの反省をいかしているつもりなんだ。でも今回は高すぎるみたいだ、思い切ってやってみて失敗する方がまだいいかなって思ってる」

って感じの意味の返信をしました。

なかには「よく言ってくれたMRT!」と、賛同してくれる人もいてうれしかったですね。

ペーパー3を評価してみよう

ペーパー3は、IB歴史のハイレベルコースを選択した生徒のみが受験する選択制の試験です。
試験のウェートは大きく、またペーパー1と2よりも具体的な歴史の事象にふれながら題に答えるエッセーを書く必要があります。
合計3本の解答を採点することになります。

ひとつめ
“The New Deal had a greater impact on the political system than on the economic system in the United States.” Discuss.

ふたつめ
To what extent did the Great Depression contribute to political instability in one country in Latin America?

みっつめ
Evaluate the economic and social policies of one military dictatorship between 1945 and 1980.

長くなるので僕の具体的な採点やコメントは省略しますが、IB生はすごいですね、こんな試験はやはり日本の大学入試にはありません。

IAを評価してみよう


IAは、内部調査。具体的には、歴史科目では生徒が興味関心にしたがって、自由にテーマを選び、調査し、評価します。

このとき面白いのは、レポートのなかで、

・使用した資料の評価
・使用した調査の手法の評価
・依拠した文献の作者(historian)の評価
・上記の、限界点

こういうものへの省察を含むことが、加点のための条件となってきます。

すべてが終わると、ファシリテーターから、実際にIBの採点者の点数を開示してもらえます。僕は、というと、やはり全体において高すぎたようですが、EEほどには「答え」からは離れませんでしたので、勝手にひとりで手応えを感じています。また、わからないなりに議論に積極的に参加しようとしていることを評価されているようで、やりがいはありましたね。

さあ、さいごのモジュールへ


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