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【閑話休題#54】吉田修一と韓国をつなげた中上健次
こんにちは、三太です。
以前から韓国に興味を持っていました。
デュオリンゴという言語を学ぶアプリを生徒に教えてもらい、韓国語の勉強をしています。
もう1000日以上続けています。(最近は一日一レッスンだけですが・・・)
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そして、昨年ノーベル文学賞を韓国の女性作家ハン・ガンさんが受賞されました。
それもあって、まだハン・ガンさんの作品は読めていないのですが、チョ・ナムジュさんの『82年生まれ、キム・ジヨン』は読みました。
テーマが明確でとても読みやすかったです。
この(自分が興味を持っている)韓国と吉田修一さんがつながって嬉しいというのが今回一番言いたいことです。
吉田修一作品には少し韓国が出てきます。
例えば、『太陽は動かない』の準主役級に当たる登場人物であるスパイは韓国人です
また、「ストロベリーソウル」という短篇はソウルを舞台にしています。
けれども、東アジアで言うと、どちらかというと吉田修一さんは台湾の方が好きそうな感じがしています。
例えば、『路』という台湾の新幹線を軸にした長大な物語があります。
またエッセイにも台湾はたびたび出てきます。
故郷長崎に帰ると、あれも食べたい、これも食べたいと、ちゃんぽん、餃子、トルコライスと、つい欲張ってしまうのだが、台湾へ行っても、これとまったく同じことが起こる。先日、そんな台湾へ三年ぶりに行ってきたということで、二〇二〇年の始まりは大好きな台湾から。
他にも『作家と一日』に収録されている「豆乳、揚げパン、牛肉麺!」は、これを片手に台湾を旅したくなるようなエッセイです。
自分自身、台湾にも興味はあるのですが、なんかもっと韓国と吉田修一さんがつながらないかなと思っていたところにこの雑誌が出てきました。
その中の特別企画で「ハン・ガン・日本・中上健次」がありました。
そこで韓国と吉田修一さんがつながったのです。
中上健次がその間を取り持ってくれました。
中上健次は自分の三番目の姉の夫が在日韓国人でした。
またソウルと中上の故郷である和歌山(新宮)が「再開発」という共通点を持っていました。
色んな関係で、中上は韓国と深い関係があったのです。
作家で言うと、尹興吉(ユンフンギル)さんという韓国の教科書に載るほど有名な作家やハン・ガンさんのお父様で高名な作家であった韓勝源(ハンスンウォン)さんなどと交流がありました。
そして、この中上健次と吉田修一さんがつながるのです。
以前にも別の記事で書いたのですが、それは吉田修一さんが敬愛してやまない作家は中上健次だということです。
中上健次といえば、好きという言葉では足りないほど、多大なる影響を受けた作家である。
この引用のあと、エッセイでは『十九歳の地図』『岬』『枯木灘』『千年の愉楽』『奇蹟』『軽蔑』と若い頃から耽読してきたという作品が列挙されます。
中上健次から吉田修一への系譜を読み取るなら、そこにきっと韓国をつなげられるだろうと(少し強引かもしれませんが)今回思えてとても嬉しかったのです。
実はそろそろこのnoteで取り組んでいる「吉田修一作品に登場する映画ガイド」も一段落するかなと思っています。(あと1年ぐらい?)
吉田修一作品はまだまだ発表されるとは思うので活動自体は続けていくのですが、比較するという意味でも、また別の作家にも焦点を当てたいと考えていました。
その候補が何人かいて困っていました。
私が悩んでいたのは絲山秋子、辻原登、そして中上健次でした。
別に3人とも読めばいいのですが、今回見えましたね。
次は、とりあえず吉田修一さんがエッセイで挙げている中上健次作品を読んでいきます。
その上でいくつか付け足して、渡邊英理先生の『中上健次論』に進んでいければと思います。
また楽しみが増えました。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。