春のような温かさがいつもある学校に…ほめることを同調圧力に決して変えない 〜心の宝物31〜44
🌷運動会と夏草
山に囲まれた小さな学校。
夏休みが明け、水泳記録会が終わると、全校は運動会に向けて動き出します。小規模校ではありましたが、グラウンドはサッカーのオールコートが取れる広さ。体育の授業はもちろんのこと、休み時間もハードル走を練習するなど、日ごとに雰囲気は盛り上がっていきます。
悩みの種は夏草の勢い。子供たちはよく遊ぶので、グラウンドの真ん中はきれいですが、やはり多勢に無勢。200メートルのトラックの周辺部には、どうしても叢ができてしまいます。
🌷誰からともなく
ある日の昼休み。子供たちと遊ぼうと外に出ました。しばらくしてふと気が付くと、6年生の女子が何名かグラウンドにしゃがみこんでいます。懸命に草を抜いているのでした。
「面倒だけど、もうすぐ運動会だから、自分たちできれいにしたい」
誰に言われたわけでもなく、自分で考えて始めたことだと教えてくれました。
やがて一人、また一人と輪が広がり、最終的に2年生から6年生まで、十数名の児童が、時間いっぱい黙々と草取りをしました。
願いをもって、自ら行動を起こした姿に、それを目の当たりにし、感じて動く姿に感動しました。感謝を伝えることを決意しました。同時に、それが他の子に同調を求めるニュアンスを帯びないように、「よい子であり続けることを暗に求める」大人の狡さが滲まないように自分を戒め、お伝えしました。
🌷お互いの選択を思い合う、受け止め合う
暑い中、自分の時間を、みんなのためにつかうことを選んでくれた人、その姿に感じて動いた人全員にお礼をお伝えします。
ありがとう。
そのうえで、大事なことを確認します。
遊びたい子は遊んでいました。そうしたい子はハードルの練習をしていました。その傍らで、そうしたい子が草取りをしていました。それを見て、加わる子もいました。そんなお昼休みの様子を、とても素敵に思いました。
草取りをしている子はえらい子で、遊んでいる子は協力しない子。
そんな風には全く思いませんし、みなさんにも、そんな風に思ってほしくはありません。
どの子も、自分で考えて、自分の昼休みの過ごし方を決めていました。仲間の過ごし方を受け止めていました。このことも、とても素敵なことです。こういうことも、自分と仲間を大切にするということだと思います。運動会に向けて、全校の心の宝物ができましたね。
かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。